「万引き家族」

 

 ほんとなんと言っていいのかわからない

 

 けれど

わたしは「観終わってモヤモヤする」ということはなかったです。また感想で「こどもには見せられない」とも聞いていたんだけれど、

 

 わたしはどうかな こども、小学校高学年くらいから観てもらってもいいんじゃないかな

 

 観てから映画のサイトで予告編を観たけど

あの予告編は観ないほうがいいと思います。

 

 前情報なんにもないフラット、まっしろな状態で観るのがいいんじゃないかな

 

 言葉で表現すると、シュルっと 砂がこぼれ落ちるようなそんな感じがします。

 

 

 

 

 善も悪もない 非常にニュートラルなまなざしで

 

 ほんとうになんだろう、技巧やテクニックを

感じさせない感じで ドキュメンタリーを観ているような

という表現も違うな 自然、ナチュラルで

 

 監督の意図、たとえばここで泣かせようとかの意図がいい意味であまり感じられないというか、

芝居臭くなくてよかった

 

 

 

 万引きすることをを悪いとも善いとも言ってない

 

 万引きを推奨してる訳じゃない

そういう意味でこどもが観ても問題ないと思う

 

 何気ない日常のシーンにみんな意味があって

 ほんとう登場人物はみんな魅力的で

 

 万引きは犯罪なのだけれど

 

 なんというか狩猟する人にも見えた。

 野生的、本能的というか

 食べ物が必要で、そこにあるから、取る

 みたいな 

 

 

 

 予告編では「家族の秘密がつぎつぎと明らかになる」とかナレーションがあったけれど、家族の秘密なんてべつにそんな重要なことじゃないとわたしは思った。

 

 社会の底辺に生きる人たちの生活なんだけれど

すごく生き生きとしていて、裏表がなくて

 

 上流階級、いい暮らしをしている人の生活のシーンも少しだけあったけれど、なんだか 表面的にはにこやかだけど我慢してる様子とか

 

 

 なんていうの、全く言葉で語られていないし

 映像にもなっていないのに

 その子が辛い思いをしてきたんだってことが

 断片が積み重なってわかる、とか

 

 すごいな と思う

 

 また、衝動的、その出来事にいたるまでの動機は

 ひとつひとつは小さくて

 直接結ばれないのに、出来事がひとつひとつ積み重なって最後 衝動が起きる感じとか

 

 なんだろう、説明的じゃないのに

なんか わかる!ってなる

 

 それが、うまい ってことだと思う

 

 

 これは賞取るわ〜 

 

 

 非常に 美しい 映画です

 

 わたしはそう思いました。

 劇場でも涙が出て

 家に帰って思い出しても涙がこぼれました。

 

 この映画が賞を取ったことで

 たくさんの人がこの作品を観るきっかけになったことは

 すごいことだなと思います。

 

 

 また社会の底辺に生きている彼らを

 「被害者」でもなく「かわいそう」でもなく

 「お涙ちょうだい」でもなく

 「社会がひどい、許せない」でもなく

 

 でも 優しく温かく見つめてる

 そんな監督のまなざしが感じらます。

 

  人間の強さと優しさを

  情けないところも含めてずるさ弱さも含めて

  美しさもこっけいなところも

 

  信じてる、肯定

  のような感じもしました。

 

  どんな悲しいことがあっても 大丈夫