まばたきをしている間
世界は見えていないはずなのに
そのことに気付かない
そういう風に僕たちは出来ている

全てを逃さず
見据えていると
僕たちは思う
視覚の不思議
そういう風に僕たちは出来ている

崖っぷちのくねくね道を
走り抜けるとき
目を開いているのと
目を閉じているのでは
どっちが怖い?
どっちが危険?

けれど
目を閉じて走る
運転席を
助手席で
凝視したところで
少しも安全にはならない



バックリと口を開けた
歴史の断層
この世の終わりの瞬間まで見届けたいと
どんなに目を見開いていても
いつかまばたきしてしまう
その瞬間に走り抜けてしまった風景は
僕には存在しない世界だけれど
それが僕を奈落に引きずり込むだろうか

目を閉じる
直前の風景が
まばたきの間の僕を
安全に自動操縦している
そういう風に僕たちは出来ている

けれど
目を閉じて走る
運転席を
助手席で
凝視したところで
何かの足しになるだろうか



車から降ろしてくれ
自分で歩けるだけ歩くから
誰も道連れにしないから

凝視し続けて
乾いてしまった僕の目を
まばたきで潤したいから

ほんの少し
まばたきのあいだ
目を閉じたら
また世界を見つめ続けられる
そういう風に僕たちは出来ている