【毎説】赤紙 第05話「親」幻夢熊吉ワールド ©熊プ社刊 | ベア吉のおもちゃトーク♪シーズン6 ~いいねはベア吉を救う~

【毎説】赤紙 第05話「親」幻夢熊吉ワールド ©熊プ社刊

 

■お断り■

この小説には現代では不適切な風潮、セリフが沢山出て来ますが、実際過去には

ういった風潮であったため、その時代の人の考えなどが再び出たと言う設定で制作

していますので、人権に反する事なので反論や講義などしたくなると思いますが、

フィクションの作品として解釈し、お読みいただければ幸いです。

 

部屋に入り、リビングに行くと長男の敬冶(18)が真剣な顔で立っており

「お父さん…」

と言った後、もじもじしながら何やら背中に隠しているのに気が付いた今村はその何

かをしゃくり取り…それは封筒で…中身は赤紙だった。

「こ、これは…!」

「ぼ、僕に赤紙が…来ました…。」

敬冶が見せた赤紙に今村の頭は混乱した。

第5話「親」

 

「お、お前…ゲイなのか?え?男が好きなのか?今まで俺を騙していたのか?」

「いや、そんな事は…」

そこへ妻の摩耶(45)がかばう様にこう言った。

「あなたがあまりにもゲイを侮辱しているから、言えなかったって…この子には本当

の自分をさらけ出せる安心出来る人間として愛せる人がいるのよ…」

そこに長女の澄子(16)は

「今、そこじゃないじゃん!お兄ちゃんがゲイかどうかでなく、赤紙が来たら今の日

本のやり方じゃ、赤紙が来たら戦地で死ぬって事じゃん!お兄ちゃん、戦争に行った

ら死ぬんだよ…相手が男だって好きって思える人がいるならいいじゃん!私もお母さ

んも、お父さんみたいに差別はしない!」

そこへ摩耶も一生懸命敬冶を庇った。

「人間は誰かのおかげで生きているってあなたも言ってたじゃない…あなたも親友の

定岡さんがいるじゃない!親にも助けられて生きた来たんじゃない…皆人間なのよ…」

そう言う摩耶の言葉をさえぎる様に今村はこう言った。

「俺は捨て子だ!」

「えっ!」

「お前に話した育ててくれた両親は俺を拾ってくれた他人だ…散々いじめられて…我

慢して生きて来た。その中にゲイもいた。そんな奴らを見返すために頑張ってやって

来た。…定岡もゲイだった。」

「えっ!」

「同性を愛するなんざ、心がやられてる!」

「あなた!」

「父さん!」

「お父さん!」

今村の怒りは最高になっていたが我慢して敬冶にこう言った。

「お前はまだ18になったばかりの高校生だ。国はまだ学生にまで視野は入れてないは

ずだが…」

それを聞いた敬冶は

「うちの高校は色々レベルの高い高校だから、校長が同性愛者のいない生徒だけにし

ようと密かに検査して、同性愛者と分かった生徒は無言で次々やめていってる…。

と言った。

今村は国の考えがこんな所にまで影響しているのかと悔しく思えた。

「検査を受けたなら…国から来たなら逃げれない…ショックではあるがお前は俺の子

だ…俺は何としてでもお前を死なせない…。」

「父さん…」

「あなた…」

「お父さん…」

その後3人は涙を堪えれず泣いた…。

 

その頃、SNSで‟昔の戦争で負けたアムリカに今、我が日本が勝っている…このまま

あの時のリベンジをするべし!”と言う書き込みがあり、その書き込みを鵜呑みにし

アムリカ側は南朝鮮と手を組み両国から爆撃される様になった…。

 

そして会社(TOYBOY)に定岡の妻の定岡鞠子(47)が訪ねて来て…定岡が戦死した通知

が届いたと報告に来た。

それを聞いた今村は足から崩れて倒れた…。

 

会社からは当たり障りのない事しか言えずで…

今村は屋上に上がり、定岡にあの時発した自分の言葉に悔し涙を浮かべた…。

 

そんな中、自分の意思での行動で敵の陣地(南朝鮮)の兵士を封じ込めた一般軍人とな

渋谷正仁(50)は帰還して国やマスコミはヒーローの様にもてはやした。

そして、日本の勝利をアピールした。

 

つづく

 

■今回の登場人物

主人公・同性愛者をけなすクズ男/今村正勝(48)

今村の妻/摩耶(45)

今村の長男/今村敬冶(18)

今村の長女/澄子(16)

定岡真人(49)今村の親友

定岡の妻/定岡鞠子(47)

戦地で敵の兵士を封じ込めた一般軍人/渋谷正仁(50)

 

イメージ主題歌

Kaneee, STUTS「Canvas

※この楽曲はイメージにて、歌手等の承諾は得ていません。
 

🔧制作

©幻夢熊吉/熊田ベア吉

赤紙™制作委員会2024

©熊プ社刊

 

この物語はフィクションであり、リアル感を出して日本国の地名は出していますが、

登場人物・内容/設定は全て架空の物ですので、ご了承の上お読み(鑑賞)下さい。