『日本の私鉄』和久田康雄著(岩波新書)

 

 

近現代史での鉄道建設は、歴史を物語る軸になると思う。

同時に、地域のあり方やその変化を表しているとも思っている。

それは建設だけでなく衰退も含めて。

 

本書は要所要所に鉄道車両の写真を載せているが、

決して列車史ではない。

鉄道企業の経営やその中心人物、技術などが語られている。

また鉄道を取り巻く政策についても。

鉄道網の発達過程を表す路線図が興味深い。

 

1981年に刊行された本なので、現在では「歴史書」となっている。

 

しかし最終章の結びは「路面電車再生への期待」である。

これは、高校の地理の教科書でも、環境問題の項目で取り上げられるに至っている。

著者の思いは実際に具現化していくのだろうか。

 

著者の和久田康雄氏は長年、鉄道ピクトリアルの編集委員をされていた。

1934年生〜2017年没