新築戸建ての棟数は
減り続けています。
人口減少
物価高騰
なのに賃金は増えない
そんな状態で
増えるはずはなく…。
今後、多くの
住宅業界の人たちは
別の事業あるいは
既存住宅のリフォームや
リセールに力を入れていかざるを
得ない、という状況です。
積水ハウス
住友林業が
それぞれ違いはあれど、
総予算を抑えて家を建てられる
プランやメソッドを発表しているのは
その流れの一環だと感じております。
その中でやはり
小さな工務店さんたちも
かなりの苦境に立たされているようで、
倒産しているという話も
少しずつ聞くようになりました。
つい先日
契約して
地鎮祭まで終えたところで
工務店が倒産してしまった。
上棟まで終えたところで
工務店が倒産したと連絡を受けた。
というお話を見かけ
非常に胸が痛みました。
今日は
私が調べた限りにはなりますが
そういった出来事を少しでも
避けられるように、と、
選ばない方が良い
工務店の特徴
について
書かせていただきたいと思います。
◯契約金、着工金として
全体の1/3以上を要求してくる
今回
倒産した工務店に対し、
ある施主さんは
契約金と着工金として
全体の半分前後に
相当する金額を
支払済だったようです。
資金繰りが苦しいため
なるべく早く
資金を得ようとしている
工務店だと、そのように
契約金〜着工金あたりで
大きな額の支払いを求めてくる
場合もあるようです。
多くの工務店や
ハウスメーカーでは
おそらく
3〜4回に分けての支払いで、
上棟時や引き渡し時のほうが
割合として多い・同じくらい
なように思います。
着工時1/3
上棟時1/3
引き渡し時1/3
というような配分でしょうか。
例えばSWHでも
上棟時までの支払額は
(手持ちのお金がないことを
知られていたためなのか
)、
かなり少なかったです。
もちろん
ハウスメーカーや
工務店それぞれによって、
微妙な違いはあるようですから
この事をもって怪しいと
一概に決めることは出来ません。
ただ、契約〜着工時に
全体予算における
1/3〜1/2以上を
求められたとしたら、
おや? と思ったほうが
良いかもしれません。
◯住宅完成保証制度
に未加入
住宅完成保証制度は
仮に工務店が倒産し、
工事が止まってしまった場合に
前払い金の損失や追加費用を
ある程度保証してくれたり、
引き継ぎ先を斡旋してくれたり
する制度です。
こちらの制度を
施主さんが使用するためには、
工務店側が
住宅完成保証制度に
加入していることが必須
となります。
加入している工務店さんであれば
住宅完成保証制度を使いたいです、
とお話しすれば
一定の保険料を支払うことで
使用できるという仕組みのようです。
こちらの制度に加入するには
審査をクリアする必要があり、
それを通っていることも含めて
安心できる材料となり得ます。
こちらの制度に
加入していないからと言って
危険だ! とも言い切れないのですが、
少なくとも何らかの理由で
加入していないということなので
警戒する必要はあるかもしれません。
完成保証制度に未加入だけど
この工務店にお願いしたい、
そういった場合では
帝国データバンクに依頼して
経営状況を調べる(有料?)🔍
ことも出来るようです。
◯相場と比較して
安すぎたりしていないか
設備や建材は
特定の高級ブランドを除いて
大抵、卸値は決まっており、
ハウスメーカーが利益の出るよう
卸値にある程度上乗せしてから
施主に提供するという流れですね。
経営状態の芳しくない工務店は
とにかく施主と請負契約を結び、
契約金と着工金という
すぐに使えるお金を得ることが
目的であることも多いです。
ですから
ファーストプラン等では
競合他社よりも安く見積もりを出し、
契約をさせようとする場合もあるようです。
そこで施主さん自身が
建築費用の相場感を知っておけば
「あれ? なんか
検討中のB社よりも
オプションとかたくさん付けてるのに
なんで予算内なんだろう。
どうしてこんなに安いんだろう」
と疑問を持つことが可能です。
とはいえ
相場は地域や会社の規模、
取引の多い住設メーカーかどうか
などで変動の大きい要素でもあり、
施主さんたちが
パッと見積もり単体を見て
相場と比較して適正かを
判断するのは非常に難しいです。
そこで役に立つのが
相見積もりです。
同じ土地での相見積もりならば
少なくとも坪数は
大きく変わらないですよね。
相見積もりの際は
間取りの違いだけではなく、
各社の価格の違いは
どこから生じているのか
ということを意識して
見積書を確認すると良いです。
(見積書自体
各社でフォーマットが異なっていて
大変比較しにくいのも
不親切だなあと感じますが…
それはまた別の話ですね)
例えば
今回見聞きした事例ですと、
A社:断熱・気密性能 やや高いクラス
価格はかなり予算オーバー
B社:断熱・気密性能 非常に高いクラス
価格は予算内に収まる
という状態であり、
望んでいた超高性能住宅が
予算内に収まる! と
B社を選択したところ
倒産してしまった…
ということでした。
性能がA社よりも良いのに
A社よりも安い見積もり
というのが
かなり怪しいところです。
高性能住宅というのは
それ単体で他の木造と比較して
建築コストのかかるものです。
良質な断熱材を
厚く入れれば入れるほど
建材が多く必要になります。
気密施工を丁寧にしようと思えば
賃金の高い腕前の良い大工さんを
雇わなければなりません。
気密測定も中間と完成時
2回は行うでしょうから、
その分測定のコストもかかります。
換気システム自体も
きちんとしたものを導入する必要も生じます。
性能が高くなればなるほど
比例して建築本体価格も
高くなることが道理であると言えます。
今回の例ではおそらく
工務店側は施主さんたちの予算と
譲れない希望を把握していたため、
高性能でかつ予算内に収まる
という見積もりを出すことで
契約を得るように動いたのだろう
という風に感じました。
何にでも
高い・安いには
それなりの理由があります。
高い場合は
人件費やブランド料が
(時には不必要なほど)
上乗せされていますし、
安い場合は
他と比較して
何かを削って・工夫しての
価格であることがほとんどです。
相場と比較した際に
予算内に収まるかどうか
だけではなく、
この価格の理由は?
なんの違いで生じた価格差なのか?
も確認できると
良いのではないかと思います。
◯施主たちの与信状況に
問題がないのにも関わらず、
住宅ローンが通らない
本当に些細な額の滞納でも
住宅ローンは通らない可能性もあり、
これもまた一概には言えないのですが…。
銀行側は、普段取引していれば
工務店の経営状態が芳しくないことを
把握することはできると思われます。
しかし、当然のことながら
それを施主に言うことは出来ません。
故に
審査を落とすことしかできない
=それで精一杯表現
というケースもあるそうです。
◯社長やスタッフの方
いずれか
あるいは全員の挙動に
違和感を覚えたり
変だなと感じたりする
直感というものは侮れません。
関わった人に対して
「この人、どうして
こんなことするんだろう?」
「この人の今の動作
なんだか変だな」
と感じることがあったとしたら
避けるべき、警戒すべき人物
ということもよくあります。
今回お見かけした事例では
社長が住設メーカーについて
どこと取引をしているのか
明確に理解していなかったり、
スタッフさんたちが
一気に辞めていったりと、
おや? と
思うことがあったそうです。
意外と
ハッキリとした嫌悪感よりも
「おや?」
「おかしいな?」
とフッと感じた疑問のほうが
核心に迫った予感のことも多いです。
契約金を支払っており
打ち合わせも進み、
土地のローンの開始もあるから
違和感を覚えたというだけで
工務店を変えるなんてなあ…
と、例え強い違和感や
怪しさを感じたとしても
簡単には
契約解除出来ない
とは思います。
だって…ねえ?
ここまできて…?
引き返すのは
すっごい労力とお金
かかっちゃうよね…?
と迷う気持ちは
ほんとうによくわかります。
でも
もし、ちょっとでも
怪しいな、変だなと感じて
それが現実になってしまったら
もっとたくさんの時間と
お金が必要になってしまいます。
多くの新築工事は
つつがなく終わり
引き渡しを迎えている、
というのも事実です。
私も、こんなことが
頻繁に起こっていたら
たまったもんじゃない、
怒りに似た気持ちで
そう思います。
ただ、記事の冒頭で
お話したように、
工務店の倒産が増えるだろう
と予測されている今、
施主にとって
これまでよりも
よりシビアな状況が
やってくるのではないかと思っています。
ですから
地元では有名な工務店だし
今まさに建てている人もいるし
希望通りの性能で建てられるし
と、
あやふやな尺度だけで
(高性能住宅を建てられる=
財務状況が良好とは限らない)
任せようと判断せず
総合的に
ときには直感も駆使して
工務店選定することを
強くおすすめいたします。