Rickshaw Girl
物語について
舞台はバングラディッシュ。バングラディッシュの町にはたくさんの”リキシャ”が行き交っています。リキシャはタクシーのように使われる乗り物です。日本の人力車から発展しました。バングラディッシュでは人が走って引っ張るのではなく、三輪車で引きます。お客さんをひきつけるために、持ち主は自分のリキシャを色とりどりに飾ります。
主人公のナイーマは、この国に古くから伝わるアルポナ(家の床などに描く伝統的模様)が得意な10歳の女の子です。女性が外で働くことが許されない村で、家族思いのナイーマが家族を助けるために何を思いつき、どんな騒動を引き起こすのでしょうか。
登場人物
・ナイーマのお父さん ・ナイーマのお母さん
・ナイーマ(主人公) ・ラシーダ(ナイーマの妹)
・サリーム(ナイーマの幼なじみ) ・ハサーンの娘
ある日、父さんはお昼におうちに帰ってきて家族をびっくりさせました。「リキシャが前より調子が悪くなってるみたいだ。さび始めてるよ。今日、ハサーンのお店に行ってくる」と彼は言いました。母さんは黙って腕輪の1つを彼に手渡しました。父さんはしぶしぶそれをポッケに入れました。
その間、ナイーマは母さんの腕輪を守るため、ある計画の実行を決心しました。サリームが彼女の手助けをしました。ナイーマはサリームのお洋服を着て、おさげ髪を帽子の下にしっかりと入れました。
ナイーマは隣村まで近道して行きました。村に着くとすぐにお店がわかりました。
お姉さんがブリキのパネルのそばで作業していました。「こちらはハサーンのお店ですか?」とナイーマは低くした声で言いました。「そうですよ、でも何の御用なの?」と女性が言いました。ナイーマは「父のリキシャを修理する必要があるんです。修理のお代と引き換えに何かお仕事ができればと思い参りました。」と答えました。女性はびっくりして「わたくしが修理人ですよ。」と言いました。
rust さびる pocket ポケット
reluctantly 気が進まないで・しぶしぶ
meanwhile その間に braid おさげ髪
shortcut 近道 beside ~のそばに
tin ブリキ lower 低くする
repairman 修理人 amazement 驚き
ナイーマは「お手伝いします!村でいちばん上手にアルポナを描けます。」即答しました。女性はため息をついて「男の子はアルポナを描かないんだよ。」と言いました。ナイーマは帽子をとっておさげ髪を勢いよくおろしました。「あたし、男の子じゃないの。」と彼女は言いました。女性は手を止めて「なんでそんなかっこうしてるの?」と言いました。水差しからのお水のように、ナイーマからお話がどっと流れ出ました。「…それであたしが全部悪かったの。」と彼女は話を終えました。
すると女性は「とりあえずこのパネルの1つをあなたに直してもらいましょうかしら。あなたに何ができるか見せてちょうだい。」と言いました。ナイーマが終えると女性がやってきて「ちょっとミスってるけどまあまあだわね。」と言いました。
突然暗闇からリキシャが出てきました。ナイーマが驚いていると、父さんが自転車から飛び降りました。彼はびっくりしてしゃべることもできませんでした。「この娘をしからないで。修理の代わりに働こうとここに来たの。この娘はきちんとしたかったのよ。そんなことしようとする勇気がある子はそんなにいないものよ。」と女性は慌てて言いました。
sigh ため息をつく tumble 勢いよく落ちる
pitcher 水差し fault 落ち度
darkness 暗闇 scold しかる
女性はハサーンじいさんの娘だとわかりました。「明日の夜までにはあなたのリキシャを直せるわ。」と彼女は言いました。父さんがポケットにある腕輪に手をのばしながら「おいくらですか?」とたずねました。ナイーマはハッとしました。
「お代はいただきません。あなたに請求するわ.....約束をね。代わりにこの娘を週に3~4日、午後ここに連れて来て。もしいい働きをするようならそれなりにお支払いしますから。」と女性は言いました。
ようやく父さんが「そのようなお約束をしていただき光栄です。」と言いました。女性はほほ笑みながらナイーマの方へ振り返りました。「たくさんアルポナを経験してる女の子だとわかって良かった。リキシャに描けるよう鍛えてあげたいわ。」
女性は父さんとナイーマに自分のリキシャを使わせてあげました。父さんは懸命にこいで暗闇の村を疾走しました。おうちに着くと、母さんが立ち上がって待っていました。父さんは全部話すとやさしく金の腕輪を母さんの手首に戻してあげました。2つの腕輪がチリンと奏でる音が小屋にあふれました。ナイーマはそれを聞いてにっこりしましたとさ。
おしまい
prove 判明する fix 直す
breath 息 charge 請求する
price 値段・請求 proud ~を誇りに思う
plenty 十分・たくさん speed 急ぐ・疾走する
gently 優しく・そっと melody メロティー