友梨奈がいなくなってから、1年が過ぎた。
あれから理佐は、ずっと友梨奈を探し続けていた。
マナカと別れた時とは、違う辛さだった。
けれども理佐は、心のどこかで、また友梨奈と逢えるような気がしていた。
そんな、なんの根拠もない自信があった。

でも、そんな思いとは裏腹に、あの時ちゃんと友梨奈を捕まえていれば…友梨奈の手を離さなければ…こんな事にはならなかった…そう後悔し続けていた。
この1年、友梨奈への想いは、なくなるどころか、ますます募らせる一方だった。

友梨奈、ちゃんとご飯食べてる?
友梨奈、ちゃんと眠れてる?
そして何より、友梨奈、生きてる?
友梨奈…どこにいるの?
逢いたい…逢いたいよ……



友梨奈とバイクで行ったあの海にも、時々探しに行ってみたが、やはりいなかった。

友梨奈に逢いたい…
どこかで偶然逢えたりしないかな…

そんな事ばかり思い、人混みの中、友梨奈を探している理佐だった。

けれど、偶然など無い。
人の出会いは、必然だ。
その人と、出会うべくして出会う。
それが、縁と言うものだろう。
そして、その縁を大事に育んでいけば、それが、絆になる。
一生の宝物だ。

もし、もう一度、友梨奈と出逢えたならば、それは偶然ではなく、間違いなく必然だ。





夕暮れ時、茜色に染まっていた空に、夜の帳が降り辺りが暗くなってきた。

今日も友梨奈に逢えなかった…
友梨奈…どこにいるの…

一人でトボトボと歩き、いつもの公園を通りがかると、薄暗い街灯の中で空を見上げて佇んでいる人がいた。

あれ…あの人……あの時の…?

理佐も空を見上げると、あの時と同じように細い三日月が…
そして、もう一度その人に目を落して、よく見ると…

あの横顔は……やっぱりあの人だ…
また会えた。

そして、あの時と同じように、儚く消えてしまいそうに見えた。

えっ…ちょっと待って…
あれは……友梨…奈?…友梨奈だよね?
……友梨奈だ!…嘘でしょ……
えっ…と言う事は、私、あの時から友梨奈に、片思いをしていたんだ…
フフ…フフフ…友梨奈…
私達はやっぱり、こういう運命だったんたね…

理佐の目から、大粒の涙が溢れ出した。思わず駆け寄り、後から抱きついた。

「友梨奈!」

不意に後から抱きつかれ、友梨奈は驚いた。
けれども、この声、この香り、この温もり…理佐だとすぐにわかった。
忘れようとしても、忘れられなかった理佐だ。
本当は、理佐に見つけてほしくてここに立っていた友梨奈だった。