盛岡近辺で出会った染織のお話をいたしましょう。
今回はダラダラ長いです
まずは雫石町より
1 亀甲織
(しずくいし麻の会)
麻やからむしを地機で経糸に緯糸を絡ませながら六角形に織られます。南部藩の献上品とされ、武士が愛用したり庶民は暑さ対策として野良着の下に着て「汗はじき」と呼ばれていました。その後大正時代に途絶えていましたが、地区で口伝えだった織物を故加藤ミツエさん(初代会長)義姉キワさんが50年ぶりに苦心の末復興したそうです。
しずくいし麻の会では麻の生産から糸作り、地元の草木での染め、織って製品にするまでの作業をされているそうです。
なかなか表に出ないのでご存知でない方も多い織物です。HPがありましたのでよろしければご覧ください。
詳しい動画もありました
↓(音出ます)
見学できますか
すみません、観光の方の見学はやってないんですよ(後継者を募集されているのですが、一般に工程は秘伝だそうです)。でも5人以上集まれば経糸に緯糸を通す織物体験は出来ます。作品は町内で購入出来ますよ。
とのことで、作品を休暇村にて購入いたしました。上のページに帯や着物の価格も載ってますよ
では再度アップ
染は藍、茜、りんどう藍草。
次から盛岡市の染織です。
2 ホームスパン
(あかね会、中村工房など)
明治時代に二戸市(盛岡の北)でめん羊が飼われてイギリス宣教師が指導したのが始まりだそうです。盛岡と花巻市東和町で全国の8割が生産され、羊毛の糸紡ぎ、染め、織りを手づくりで行っています。
盛岡駅西南にある盛岡中央公園そばのビバテラス(クラフトショップSUNABAもその中)でもホームスパンの教室をされていました(中に人はいましたが扉が閉まっていて入って良いかわからなかった)。
また、町家から近い酒造「あさ開」と同じ建物にあかね会があり、見学することも出来るようです。
お店10時からだったの(この時9時)。小さな博物館もあり見学、体験ができるそうです。
3 南部古代型染
(蛭子屋小野染彩所)
盛岡駅の北側、徒歩10分くらいのところにある工房です。元は京都の染司の家だったそうですが、南部氏が盛岡藩主になる時にともに移ったそうです。当時は裃、小袖に用いられ、現在でも型彫り、染を昔ながらの技法でされているとのことでした。藍染は最近まで藍瓶があって近隣の方の麻を染めたりするのも頼まれていたそうですが、現在は徳島で染めてもらっているとのことでした。型は南部氏の家紋である向かい鶴をはじめ、宗の花、南部萩など数百に及び、昔ながらの糯米で糊置きをしていているそうです。
2階が小さな博物館になっていて、見せていただきましたよ〜
音声テープが流れて資料の説明をしてくれます。
風呂敷で使ってもいいし、バッグにもなるし、作り帯も出来そう。
向かい鶴錆色。
馬うーまさんもテーブルセンター?帯をされてたし。
染めのことをたくさん教えていただけるお店でした
4 南部茜染・紫根染
(草紫堂)
紫根染とは古来より行われた紫草の根を使って染める方法で、大桝、小桝、立涌という絞りの模様は鎌倉時代から使われていました。南部は良質な紫草の産地で藩も保護していましたが、明治になり化学染料が入ったことと紫草が取れなくなってきたことから紫根染は一旦廃絶の危機となります。しかし大正時代に伝統技術を絶やさないよう県が筆頭となり南部紫根染研究所が作られ、当時まだ技術が残っていた秋田県鹿角市から講師を呼んで紫根染を教えてもらったそうで、その研究所の主任が草紫堂の初代だそうです。初代は新しい模様も考案し、また茜草の根を使った茜染も商品に取り入れました。
灰汁につけて半年おいた生地を12回紫根から抽出した染料につけて5年箪笥に寝かせて色を安定させるとか。絞りは近隣の人数十人に手伝ってもらい、また紫根や茜の根は貴重なことから化学の力も借りて安定した色を出しているそうです(草紫堂HPと東京美術「染めと織りの見分け方」より)
写真を撮るのを忘れてHPよりお借りしました
前々回の白沢せんべい店のすぐそばのお店です。
馬うーまさんとちょっとの時間寄りました。何か小物をと思っていましたが、いろいろな絞りがありすぎて目移りして今回は買えずに出てきてしまいました駅や施設やいろいろなお店にも草紫堂さんの商品を置いていらっしゃるのですが、品数は本店が一番でした。
それとね
と、これ
去年都内に行く用事があり、帰りに表参道を通った時古布屋さんで見つけました薄い木綿の布に大桝絞りという模様の紫根染。大正時代の盛岡産だそうなので、南部紫根染研究所のものかもしれないですね。長いので作り帯にもバッグにも出来そうです。
でもいつか木綿の反物憧れますね。
5 他にも
お店には伺っていないのですが、草紫堂さんの近くにある巴染工さんで注染、硫化染、インクジェットで旗、半纏、手ぬぐいなどを作っておられるそうです。
また新幹線で30分の八戸も南部八戸氏が治めていた土地で、麻地に偶数目の刺繍をする南部菱刺が有名です(参考までに、こぎん刺しは奇数目の刺繍)。
おまけ