コンテナピック | それが知りたかった!貿易の小さな疑問のいろいろ

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なかなか載っていない、貿易の小さな疑問を解決します。

 

 

 

 

ヤードからコンテナをピックするには?

 


今日は⑦についてです。

①船積み書類の入手
②スケジュール確認
③輸入通関準備
④A/N入手、配送手配
⑤輸入申告、納税、輸入許可
⑥D/Oリリース
⑦貨物引取り


⑦貨物引取り

 

輸入許可とD/Oがクリアになったら、コンテナの引き取りが可能となります。

 

輸出のコンテナ引取り時同様に、コンテナをピックする前日にCY(ターミナル)へ引取り予約を入れます。
「予約」「作業番号」「ピックアップオーダー」など港によって呼び名が違います。

この引き取り予約を略して「オーダー」と言ったりもします。


ほとんどの港が、このような事前予約手配が必要となっており、予約が入ってない場合は引取りできませんので要注意です。


オーダー手配後、(ネットやNACCSなどで)D/Oリリースを再度確認して、納品日の前日にヘッド+空シャーシでCYのゲートに並びます。


ゲートとは、CYに入るための入口です。
CYは「保税地域」ですので、その区域への立ち入りがすべて管理されています。


ゲートで、ドライバーが予約番号などを伝えて、引取りに問題がなければそのまま中に車ごと入ります。
ここでD/Oがクリアになっていなければ、受付不可となりCYの中に入ることはできません。

 

事前にD/Oを確認しておいた方が、仕事がスムーズに流れますが、

割と、確認しないままゲートに引き取りに行く業者も多いんですよね・・・。

特に、土曜などゲートが開いていて船社や代理店が休みの時は要注意です。

引き取りを手配する場合は、必ずD/Oを確認しておくことを強くお勧めしておきます!


ゲートを通過したら、ヤード内の所定の位置に車を止め、安全のためドライバーは一旦、車から降りて該当のコンテナがシャーシに載せられるのを待ちます。
一応、ドライバーが立つ場所(〇で表示あり)も決められています。


CY内はコンテナ番号や蔵置場所などが全てシステムで管理されていて、CYの中のコンテナ移動は、ストラドルキャリア、トップリフターもしくはトランスファクレーンのいずれかの荷役機械で行われます。
ヤード内のシステムを介してゲート受付にて処理されたコンテナ番号がシャーシに積載されます。


ドライバーはシャーシに載せられたコンテナの4点ロックを確認した上で、ゲートを通って搬出します。
その際に、コンテナの外装などにダメージ(損傷)がないか、引取りコンテナ番号に誤りがないかなどをゲートで確認を受けます。

 


運送中の安全に影響があるようなダメージがあった場合は、CYから搬出をすることが問題となります。

 

本船からコンテナを揚げる際にも、コンテナの外装ダメージの確認は行われますが、

揚げ時には確認できず、搬出時に見つかるダメージもあります。
搬出時に見つかった大きなダメージなどについては、CYオペレーターから船社へも報告されます。


ダメージによっては、シャーシへの積載が不可なものや、4点ロックが掛からない場合もありますので、その場合は船社の判断により修理などが行われます。
これは、そのコンテナを所有している船社に管理責任があるためです。

そして、このようなコンテナの外装確認の内容などを記した「EIR(イーアル)/EQUIPMENT INTERCHANGE RECEIPT=機器受け渡し証」という書類が発行されます。
これは、コンテナのダメージ有無の証明になるものです。


搬出時にダメージがあった場合は、EIRにそのダメージの場所と内容が記されます。
また、ダメージが無い場合も、その旨が記載されます。

ダメージが無いものを、SOUND(サウンドバン)と言い、EIRの「sound」欄にチェックが入ります。

ドライバーはゲート搬出時にこのEIRを受け取って、コンテナを指定の配送先まで輸送します。
ピックした翌日に、配送先へドレー、デバンが完了すると、コンテナは空になります。
コンテナは、船社の持ち物なので空になったコンテナは返却しなければなりません。
空コンテナをどこに戻すか、という返却先も併せて「EIR」に記載されています。


空コンテナを返却することを「空(から)返却」とも言いますが、
空返却の際に、実入りのゲート搬出時に受け取ったEIRが必ず必要になります。
コンテナはあくまでも船社から借りているものなので、CY搬出後から配送先でデバン後、返却されるまでの間に、ダメージが発生する可能性があります。


そのような理由から、コンテナの状態が搬出時と返却時で同じかを確認するためです。

 


空コンテナの返却時もゲートを通る際に、外装およびコンテナ内部の確認が行われます。
この確認の際に、EIRの内容とコンテナの状態に相違がある場合は、空コンテナの受け取りを拒否されます。
例えば、搬出時に「SOUND」のEIRだったコンテナが、空返却時に「亀裂や穴」などのダメージが確認された場合は、空コンテナを受け取ってもらえません。


これは、輸入者もしくは運送会社の過失となるため、「コンテナのダメージを元の状態に戻してから返却するように」ということです。
返却拒否された場合は、船社と話した上で、船社が了承すればゲートで受取をしてもらえます。

また、輸入貨物にF/Tがあるように空コンテナの返却にも返却期限が決められています。
この空コンテナのF/Tの期間も、各船社によって異なります。
つまり、「コンテナピックした日から何日以内に空バンも返してね」という意味です。


その設定のF/T期間を過ぎて、空バンを返却した際には「DETENTION(ディテンション)=返却延滞料」が請求されます。
これは、返却後に船社もしくは船社代理店から請求されるものです。

 

実入りコンテナを納品して、空バンを船社へ返却するところまでが輸入手続きとなります。

これで一通り、輸入の流れの説明は終わりです。

 

 

困った時は「こびと」を思い出してください🧙‍♀️