輸出で登場する書類には、何がある?
輸出の流れを大まかに説明した際に、
貿易は、貨物と書類が別々に動くと言いました。
今日はその、書類の流れを追っていきます。
航空便については、それほど書類は多くありませんので、船の場合で説明します。
航空便との共通は「運航会社へブッキングを入れる」点のみです。
<海上輸送の流れ>
船社へブッキング
貨物、書類の準備
貨物を指定先へ搬入
-----カット日までに完了------
輸出通関
輸出許可
--------------------------------
船積み
書類がどのように動いていくのか、上記の流れと見比べながら見てみてください☺
<書類の流れ>
①船会社へブッキング(現在は、ほぼWEB BOOKING)
②船会社よりBOOKING CONFIRMATIONが届く
③船会社指定のバンプールへオーダー
④船会社指定のヤードへ搬入票
⑤輸出許可の連絡
⑥SHIPPING INSTRUCTION(S/I)を船会社もしくは船社代理店へ送付
⑦Check B/Lの確認
⑧DEBIT NOTE/FREIGHT MEMO
⑨Request for Surrender
⑩B/L発行
専門用語が多く、内容も複雑になっていきますので順に説明していきます。
今日は①と②についてです。
①船会社へブッキング(現在は、ほぼWEB BOOKING)
輸出する貨物の物量が確定したら、それに合わせたコンテナ(サイズ、タイプ)で
船腹予約します。船腹=船のスペースという意味です。
各船会社は月間(マンスリー)スケジュールを公表していますので、
HPなどでスケジュールを確認します。
船のスケジュールは、船社にもよりますが「出港日ベース」と現地(揚げ地)の「到着ベース」で検索することが可能です。
このスケジュールはあくまでも「スケジュール」で、飛行機のような確実性はなく、
保障もされていません。
航海日数が長いことや、その他様々な要因で船のスケジュールは遅延することも多いです。
そのため、到着を急ぐような貨物を船に積載するのは不向きです。
また、本船カット(貨物の締切)があるので、貨物・書類の準備から輸出通関までの日数を
逆算、考慮した上でどの本船を選ぶかというのも大事なポイントです。
ブッキングの際には、積み地、向け地(揚げ地)、コンテナサイズ、タイプ、本数、
空コンテナのピック日、代表する貨物の中身、輸出者の情報が最低限必要です。
飛行機に乗る時も、どこからどこへ、何人分で予約しますよね。そんな感じです。
コンテナは、船を運航している各社が保有していて、ブッキングを入れた際に
船会社が貸し出す用意をしてくれます。
そのためにも、「どのコンテナを使うか」を必ず伝えなければなりません。
WEB BOOKINGやHPのスケジュールなど、表記は全て英語でされています。
ここでお話しした日本語を簡単に、業界用語で下記しておきます。
太字は必ず必要な言葉になってくるので、少しずつでも覚えていってください。
貿易用語だけをリストにしたものもありますので、必要な方はお問い合わせください!
- 積み地=PORT OF LOADING
- 仕向け地(揚げ地)=PORT OF DISCHARGE
- 本数=コンテナを数える単位はVAN(2本=2VAN) or CON(2本=2CON)
- 出港日=ETD (ESTIMATED TIME OF DATE)
- 到着日(入港日)=ETA(ESTIMATED TIME OF ARRIVAL)
- 貨物締切=Cut
- ピック日(pick)=貨物やコンテナの引取り日
- 空コンテナ(empty)/空バン(VAN)=コンテナの中に何も入っていない状態のこと
- 実入りコンテナ(full)=コンテナの中に貨物が入った状態(輸出 or 輸入貨)
- コンテナ=Container, VAN
- コンテナサイズ=20F , 40F
- コンテナタイプ=DRY , {R/F , O/T , F/R}
⇒DRYを通常コンテナ、
{}を一括りにスぺコン(Special container)と言ったりもします。
(コンテナタイプの詳しい説明↓↓↓)
②船会社よりBOOKING CONFIRMATIONが届く
コンテナには20feet(20F)と40feet(40F)の2種類のサイズがあり、
そのサイズを組み合わせて、船会社は船全体のスペースを埋めていきます。
船のスペースがあっても、コンテナの在庫が無くてブッキングできないこともあります。
船会社は、日本だけでなく世界中で船やコンテナを動かしているので、
思うようにコンテナの在庫がコントロールできないことがあります。
ブッキングの際に空バンが無くても、ピック日までに日数の余裕があれば、
船会社は日本や外国にある空バンを持ってくる手配をしてくれます。
これを、「コンテナ回漕」と言います。
コンテナ回漕は基本、船会社のコストでやるものなので特別に料金がかかることはありません。
これまでの実績や各港の荷動きの特徴などから、各港に見合った在庫管理をしていても、
需要と供給がうまくいかないことがあります。
これは、船会社のコンテナに限ったことではありませんね。
そういうわけで、船会社はコンテナ回漕で全国、全世界のコンテナ在庫を調整しているのです。
そして、その逆もあります。
コンテナ在庫はあっても、船のスペースが取れない。
どちらかというと、こちらの方が深刻ですね。
同じ航路を運航している他の船社があれば、他をあたれば良いのですが。
港によっては、その船社しか運航してない場合があります。
飛行機の場合もそうですよね、地方や離島になると便も航空会社も限られますね。
コンテナの在庫と船のスペースの両方がクリアとなれば、
船会社からBOOKING CONFIRMATION(船積み受付)というような書面が届きます。
WEB BOOKINGした場合はSTATUS=WAITING→CONFIRMに変わるだけのような場合もありますが、大体は登録したメールに「BOOKING CONFIRM」というような標題で
メールが届くようになっています。
この際にいわゆる予約番号=BOOKING NO.が発番されます。
CONFIRMATIONには、このBOOKING NO.と共に①の貨物情報が記載されています。
BOOKING NO.は輸出の際にはとても大事なもので、全てがこの番号に紐づいています。
余談ですが、飛行機を予約した場合にも「予約番号」が発番されますよね。
最悪、分からなくても電話番号などで航空会社が検索してくれますが、
船の場合はそうは行きません。
BOOKING NOが分からなければ、問い合わせする方法が無いに等しいのです。
航空会社のカウンターのように、船会社に電話して会社名や電話番号を言ったとしても、
門前払いで相手にしてもらえません。
これは貿易特有のもので、ブッキングした人が必ず送り状の送り主になるわけではない、
ということが考えられます。(詳しいことは後述します)
そのため、船会社はブッキング受付の時点では、情報として入手はするにしても、
輸出者情報は管理してないのです。
さて、これで船の予約は完了ですので貨物・書類の準備、通関へと進みます。
③へつづく。
困った時には「こびと」を思い出してください🧙♀️