千葉県の更新世の腔腸動物、単体サンゴで、六放サンゴ亜綱 Hexacorallia
イシサンゴ目 Scleractinia のチョウジガイ 科 Caryphylliidae、
ムシノスチョウジガイ属 Heterocyathus に属する可動サンゴで、
ムシノスチョウジガイの化石です。
また、
小さな穴が開いているため、ムシノスチョウジガイと共生関係にある、
タテホシムシ属 Aspidosiphon sp. の生痕化石にもなっているようです。
泉川の右岸側にある、土砂採り場跡の崖で、
レンズ状の化石層の下段側の産です。
ここでは、普通種です。
現生種です。
シノニムは、
Brachytrochus simplex
Heterocyathus aequicostatus carthausi
Heterocyathus aequicostatus delicatus
Heterocyathus aequicostatus elberti
Heterocyathus cochlea
Heterocyathus elongatus
Heterocyathus lamellosus
Heterocyathus oblongatus
Heterocyathus philippensis
Heterocyathus philippinensis
Heterocyathus rembangensis
Heterocyathus roussaeanus
Heterocyathus rousseaui
Heterocyathus sandalinus
Heterocyathus woodmasoni
Psammoseris rousseaui
Stephanoseris rousseaui
が、あります。
ムシノスチョウジガイは、
環形動物門に属する、星口動物のホシムシと共生し、
ホシムシに住み家を提供するとともに、
捕食者からの隠れ家にしています。
ホシムシの住み家は、渦巻き型の空洞とのことですが、
空洞から体を出し、サンゴを引っ張って移動したり、
直立させたり、サンゴが砂に埋もれたときは、
サンゴを砂から出したりします。
( このため、可動サンゴとも呼ばれています。)
最近は、
このホシムシが、タテホシムシ属に属することが
分かりました。
また、
ホシムシ以外に、ヤドカリ・その他との共生も
発見されています。
尚、
北隆館の学生版日本古生物図鑑は、
ムシスチョウジガイになっています。
学名 Heterocyathus aequicostatus
時代 第四紀 更新世 中期 下総層群 藪層
産地 千葉県 木更津市 真里谷 ( まりやつ )
採集日 1998年12月30日
採集者 筆者 kulif
側面です。
莢の隔壁は、全て欠けています。
縦条は、同じような状態と太さで、この種の特徴です。
背面側です。
ポリプ側です。
基底側です。
左の穴が、タテホシムシの出入り口で、体の径と同じような穴径です。
横側です。
反対の横側です。
下の穴が、タテホシムシの出入り口ですが、
上の穴は不明です。
タテホシムシの出入り口の正面です。
参考文献
井川桃子・加藤真・畑啓生(2017) , 単体サンゴとホシムシとの「賃貸共生」
-共生の成立・維持過程に迫る- , 京都大学ホームページ,
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