中国、新の王莽が発行した貨幣の「貨泉」です。
新は西暦8年、王莽により建国された国で西暦23年に滅んだ1代の国です。
これは、前漢と後漢の間にあたり、
日本では、弥生時代にあたります。
貨泉は、西暦14年に発行され、日本の弥生時代遺跡からも発見されています。
歴史好きな方はご存知と思いますが、
10か所以上の弥生時代遺跡から50枚以上発見されています。
貨泉の基本銭ですが、
表は、金文で 「 貨泉 」と右から左に書かれています。
裏は、何も書いてありません。
表 ( 面 ) 裏 ( 背 )
弥生時代は文字記録がなく、
遺跡の年代が西暦何年か、はっきりしませんでした。
しかし、貨泉が発見されれば、
その行使期間の西暦であると決定することができます。
従って、
弥生時代の中期末~後期は、
貨泉の行使期間 (西暦14年~40年)に当たるだろうと推定されています。
用途は、貨幣としての行使なのか、祭祀・まじない用なのか、
青銅器などの材料用なのか、単なる記念品なのか、
それら全部なのか、分っていません。
貨幣という単語の意味を聞いておれば、通用の定義は別として、
日本製ではありませんが、
日本にあった貨幣では、和同開珎より古いことになります。
さて、貨泉も短い鋳造期間でしたが、色々発行されました。
また、
その後の六朝時代にも、
小さく薄くした貨泉が発行されたのではないかとされています。
今回は、̠伝形と言って、貨泉の文字が鏡文字になったものです。
上の基本銭と比べてください。文字が裏返って左から右に書かれています。
尚、伝形は、
鋳型に貨泉の文字を裏返さずに、
そのまま彫ってしまった時にできます。
伝形で有郭 ( 四角穴の縁が盛り上がっている ) の標準タイプです。
表 ( 面 ) 裏 ( 背 )
伝形で有郭ですが、細郭です。
表 ( 面 ) 裏 ( 背 )
伝形で有郭、泉重文 ( 泉の文字が二重になったエラー ) です。
表 ( 面 ) 裏 ( 背 )
伝形で有郭・広穿、小様 ( 直径が小さい ) です。
表 ( 面 ) 裏 ( 背 )
伝形で面無郭、斜文字、貨傍星 ( 貨の文字と四角い穴の間に星がある ) です。
星は、写真写りが、良くありません。
伝形で面無郭、貨下決文 ( 貨の右下の穿下に点があります )
表 ( 面 ) 裏 ( 背 ) (有郭です)
伝形で無郭、文字が尨字になっており、大変珍しいものです。
また、厚肉にもなっています。 直径25.0mm 7.3g