そこへ1人の貴族風の格好した年配の男性とその付き添いらしい人たちが現れた。その男性がアーサーくんに声をかけた。
「アーサー、ここにいたか」
「父上!」
「アーサー、エマニュエルさんが亡くなったことで、遺産の相続について話し合われる。それに送別会を兼ねてお城で舞踏会が開かれる。アーサーも手伝って欲しい」
アーサーくんの父親はウラジミールさんと言った。
アンジュちゃんはウラジミールさんの娘ロリータちゃんと仲良くなった。アンジュちゃんと同い年の13才位で上品なロリータ服を着ていた。
「ほら、お花のささやく声が聴こえる」
「へぇ、ロリータちゃんってお花とお話出来るのね。素敵」
「アンジュちゃんは日本からやってきたのね。」
「そう。観光旅行に来たの」
「私はニューヨークのお城から来たのよ。もうすぐ舞踏会が行われるの」
「ニューヨークにお城があるの!? 行ってみたいな」
「じゃあおいでよ。私がお願いすれば連れて行ってもらえると思うわよ」
ロリータちゃんはウラジミールさんにアンジュちゃんをお城に連れて行くようにお願いした。ウラジミールさんはアンジュちゃんを気に入って連れて行くことにした。
「じゃあ早速行こう。」
「でもみんなは?」
アンジュちゃんの質問にウラジミールさんは答えた。
「みんな送別会の話し合いで忙しいみたいだ。でも後から来るよ」
ウラジミールさんはアンジュちゃんを車に乗せて連れて行ってしまった。執事付きの高級車だった。
しばらくして、まほろちゃんはアンジュちゃんがいなくなったことに気づいた。
「アンジュちゃんはどこ?」
するとメイドさんが答えた。
「お連れのお嬢さまはウラジミールさまにお城まで連れて行かれました」
それを聞いたアーサーくんは驚いた。
「父上、またやったか!」
僕は質問した。
「またって何をやったの?」
「父上はカワイイ女の子を見るとすぐお城に連れて行くのだ」
するとメイドさんは言った。
「そうですよ。女の子は誘惑のラビリンスに誘われてお城に迷い込み、そして王子様に求愛されるんです。だけど、その王子様が狼だと気づいた頃にはもう心も体も虜になってるんですよ。そして、アンジュちゃんは愛玩用のペットにされるでしょうね。憧れますわ」
それを聴いたまほろちゃんは
「助けに行かなきゃね」
そして、アーサーくんも
「分かったよ。みんなをお城に連れて行こう」
つづく