昨日は私個人としては衝撃的なニュースに出会いました。


もちろん全世界でコロナウイルスに感染した人が1000万人を超え、死者も50万人になったことは大きなニュースでしたが、米シェール開発大手のチェサピーク・エナジーが連邦破産法11条の適用を申請したことは私にとって衝撃でした。


今回の事件はここ数年で経営破綻した米石油・ガス開発企業の中では最大規模の話だと思います。

私の中ではチェサピーク・エナジーといえばシェールガス開発の草分け的存在というイメージでしたが、やはり多額の債務と新型コロナウイルスによるエネルギー市場の混乱で経営が悪化して破綻に繋がってしまったようです。以前から噂はあったけれど、まさか破綻とは…というのが実感です。


いつもの私の独断と偏見では「シェールオイル採掘企業は決算が赤字でもキャッシュフローは黒字」のイメージがあったので、以前噂が出た時も「潰してしまうことはないんじゃないか」と思っていました…。

どういうことか詳しく説明しますと…。

シェールオイルを採掘する場合、各企業はそれぞれ損益分岐点なるものを設定していますが、それは採掘の権利を得た値段や設備を購入した価格などから導き出されています。

出荷時の原油価格が損益分岐点以上で推移していないと「決算は赤字」になります…。原油価格が低い時は掘ったら掘っただけ決算数字は真っ赤っかの大赤字になる状態です。


けれども、実際は原油を掘る権利も設備もすでに揃っているため会社としては採掘さえしていれば「値段に関係なく掘った原油から幾らかのお金は得られる」という「キャッシュフローは黒字」の状態が期待されます…。つまり幾らかでもお金を得るためには「掘ったもん勝ち」の行動が求められます…。結果的に「決算数字は赤字でも掘れば現金は得られる」状態なので「会社存続が最優先」と考えてしまう企業も多いだろうなぁという認識でした。

そういった理由で私は全ての米国シェール開発企業は会社を潰すよりは原油を掘り続けてお金を得た方が良い…と考えるのだと思っていました。


けれど、今回は破綻してしまった…というか、ニュースを見ると「破綻を許してもらった」…感じです。

日本とアメリカでは「国民性の違い」から破綻に対しても周囲の反応や感覚が異なっているのだろうと感じる記事が載っていました。

以下、気になったことを3点記載します。

「破産手続きを通じてバランスシートを強化し、長年引きずってきた契約上の義務を再編することで、より持続可能な資本構造を達成したい」と会社が表明した。
→そもそも借金したのはあなたの会社の希望で、そのお金を返すのは義務ではないの?義務を再編するってどういうこと??とアメリカ人は言わないようです。

再編計画によると、同社は既存債務のうち約70億ドルの再編を目指している。金融機関は融資限度枠の範囲で繰り返し借り入れが可能な「リボルビング・クレジット・ファシリティ」を通じた債務再編支援に合意し、債権者からも支援合意を取り付けたという。
→70億ドルって7000億円を超えていますよね?債権者もお金が返ってこないのに「支援合意」しちゃって良いの??とアメリカ人は考えないようです…。

そして
③破産手続きの間も業務は継続する…ようです。
→日本なら改めて私の独断と偏見のイメージですが「夜逃げ」しなくちゃならないレベルの話で、7000億円超の借金を「払いません!」と宣言した後に同じ場所で事業継続出来ることが驚きです。まぁ、実際に夜逃げを見たことはありませんので日本で同じ状況になったとしても事業継続は出来るのかもしれませんが…。

結局、よく言われていますが「アメリカでは一度失敗しても次のチャンスを得やすい」環境が整備されているのでしょう。

仮に今回の件で私が債権者だった場合を想像すると「そうか、破綻か。私の貸したお金が返ってこなくても仕方がないよ。また同じ場所で仕事を継続して頑張りなよ。応援してるから」と素直に考えられて、相手に伝えられる国民性だったとすれば、余裕を感じられて、やっぱり強いですよね。

長い時間を経てみると、確実にどこかの国とは明らかに違う結果が国全体で現れるのでしょう…。

日本は7月に都知事選もありますが、これからコロナ禍の混沌とした世の中が続くことを考えると、このような寛大な国民性になる政策を行ってくれるリーダーが求められているのかもしれません…。

長くなりましたので、この続きはまたの機会に。

今日も一日、皆さまも楽しくお過ごし下さい!