今日はおせち料理の中にある薬効と年末年始に陥りがちな注意点について中医学の立場からお伝えします。


今日取り上げるおせち料理は「栗きんとん」です。栗きんとんの材料は栗とさつま芋と砂糖ですよね。特に栗とさつま芋は優秀な食材です。では、どのような薬効があるのでしょうか。


【栗】

栗の栄養は脾と胃と腎へ届きます!脾と胃の両方を元気にしてくれるため、食べ過ぎで疲れがちな身体に最適な食材です。また、腎に栄養を補ってくれます。腎が衰えると腰や膝がだるくなったり、さらには頻尿や尿失禁など尿のトラブルが起こったりします。そんな症状に栗は味方になってくれます。腎が衰えると咳が出ることがあります。高齢者の慢性的な咳にも有効です。また、血流を良くしたり、脳を活性化させる効能もあります。栗は本当に頼もしい食材です。栗の渋皮には抗酸化作用のあるタンニンが豊富に含まれています。動脈硬化の予防にもなります。もし見かけることがあったら、栗の渋皮煮もオススメです。巷では栗はスーパーフードと呼ばれているようですが、中医学の視点から見ても、その季節には積極的に摂りたい食材です!


【さつま芋】

さつま芋は脾を健やかにしてくれます。また、気を補ってくれます。脾に元気がないとむくんで体が重くなります。私たちが食べたものは胃でドロドロになった後、小腸で清(せい)と濁(だく)に分けられるとされています。清は栄養たっぷりの水といったイメージです。濁は大腸や膀胱へ進んで排泄物になります。脾は栄養たっぷりの水である清を吸収して、栄養たっぷりの水を上へ持ち上げます。どこに持ち上げるのかというと肺です。栄養たっぷりの水は肺から全身にスプレーのように全身へ届くとされています。脾に元気がないと、栄養たっぷりの水は肺へ上がらずに、その場に停滞して、やがては湿、痰へと変化していきます。湿はむくみの原因です。まぶたがむくんでいるのは脾の働きが悪い証拠です。また、下半身もむくみやすくなります。脾は暴飲暴食の影響を直接的に大きく受けます。脾を健やかに保つことはとても大切です。腎には両親からもらった生命の元のようなものが蓄えられており先天の元と呼ばれていますが、それに対して脾は後天の元と呼ばれています。老化防止には腎だけでなく脾を調えることも大きなポイントです。さつま芋は脾を元気にしてくれるのでオススメの食材です。さつま芋だけでなく里芋、八つ頭、山芋など芋類は脾を元気にしてくれます!


最後に、砂糖についてです。お節料理にはたくさんの砂糖が使われています。日持ちさせる意味もあるかと思われますが、砂糖の摂りすぎは湿を発生させます。ご馳走が並ぶ時期ではありますが、頭の片隅に知識を置いておくといいかと思います。食べ過ぎは良くありませんが、もちろん食べなさすぎも良くありません。何事もほどほどにが中医学のモットーです。