初めて耳鳴りを意識したのは10年以上前の高野山の宿坊でだった

かの聖地は夜になると町中が静まりかえる


初めて経験する完全な静けさの中

就寝のために電気を消して布団に横たわると


耳にシンシンともキーンとも何とも表現できない音が聞こえている気がした

 “蝉?そんな訳ないよね”

それは頭の中で鳴っている

そしてどんどん響きが強くなり頭が押し潰されそうな程に感じた


やっと気がついた


“これが耳鳴り!?”


下山すると耳鳴りが気にならない日々に戻った


耳鳴りは静寂の中で起こるらしいと記憶に残る




10年ほど経過して

今年になって夜寝る時室内が静かになると

時々あの何とも言えない圧迫感が起きるようになった



“不快なことは無視!” する様に心掛けていたが、

気になる時はかなり気になり

不眠の原因にもなりそうな気がして

不快は完全には収まらなかった



先日、耳鳴りの話をすると

「耳鳴りって何億とある聴神経細胞が消滅して行く時の刺激によって起こると言っている人がいるよ」

と言う人がいた そう言っている人がいるってだけで、検証などありませんが…


その言葉を聞いて思った


ひょっとすると、

“耳鳴りって身体の中で頑張ってくれていた聴神経細胞たちのサヨナラの挨拶なのかもしれない”


そう思うと

今まで不快と感じていた耳鳴りたちが愛おしく感じ、耳を傾けるようになった 

「耳鳴りの声挨拶をとことん聴きましょう!」と 単純な私


頭の中を耳鳴りで一杯にすると

あれほど不快と感じていた耳鳴りが自分の一部のように感じてきた



この耳鳴りたちが挨拶だったら…と夢想する

  「さようなら…」「今までありがとう」


そんな脳内会話を繰り返しながら布団にいると

最近は就寝時の眠気も阻害されることなく

いつの間にか眠っているようになった




物事って視点を買えるだけでこうも変わるの!?と我ながらの単純さに笑ってしまったにっこり




※私の三半規管等には異常はなく、ただの加齢変化ってヤツらしい

 そんなレベルの耳鳴りの話


酷い耳鳴りは病気もあり得るらしいので早めの検診が勧められている