(O)


 「翔くん、カレーは好きですか?」


「カレーですか?大好きですけど…」


「良かった、何が好きかわからないから、どうしようか迷ったんだけど…今朝、作ったんで、食べに来ませんか?」


「智くんが作ったんですか…食べたいです!」


翔くんを自宅に招くことにした…


僕の家に向かう途中…2人の年齢が近いことが分かって、タメ口で話そうってことになった…

敬語のままだと、なんか距離があるみたいでさ…



「旨いっ!これ…店で出せるよっ…」


「んふふ…いっぱい作ったから、おかわりしてね♪」


翔くんは、はち切れそうなほど、頬っぺたパンパンにして…美味しそうに食べて、3回もおかわりしてくれた

美味しそうな翔くんにつられて…珍しく、僕もおかわりしちゃったんだよね…


翔くんが、こんなに美味しいご飯食べられて幸せだって…また食べたいって言ってくれて嬉しかった…

僕も、また翔くんに、作ったの食べてほしいって、そう思ったんだ…


この日から、時々、翔くんと一緒にご飯を食べるようになった…

僕が作ったご飯を翔くんが美味しいって言ってくれるだけで、幸せだなって思ってたのに…


それが叶うと、僕はもっと翔くんと近づきたくて…

ご飯を食べるだけじゃなくて、もっと長い時間 一緒にいたいな…翔くんの家にも行ってみたいな…って思うようになった…


どうしよう…誘ってみようか…翔くんて、お休みいつなんだろ…


僕は、仕事柄、依頼の期日が迫ってなければ、時間に融通がきくから、いつでも翔くんに合わせられるんだけどな…翔くんは、仕事は何してるんだろ…聞いてみてもいいかな…


…なんて考えてたら、翔くんに、「智くんて、お休みいつ?」て聞かれたから、


「特に決まってなくて…忙しくなければいつでも休みみたいなもんかな…翔くんは?」て答えると、


「俺も、似たようなもんかな…」って…


あ…じゃあ、どこか出かけないって誘ってみようかな…どこがいいかな…

海にドライブとか…って、僕、免許も車もないんだった…じゃあ、映画とか…あ、美術館とか…絵とか彫刻とか興味あるかな…水族館とかもアリかな…なんて、色々考えてたら…


「車出すんで、今度、ドライブでも行かない?」て誘ってくれて、「行きたいっ」て言ったら、「どこに行きたい?」て、聞いてくれたから…


「海!」…て、言っちゃうよね♪




(S )


 「おじゃまします」


「どうぞ♪」


夕食は、智くんの家に招待された…


朝からカレーを仕込んでくれてたらしい…


智くんの手作りカレーは食べたいから、ついてきたけど…


知り合ったばかりの俺を自宅にすぐ招くなんて、無防備だよなぁ……て、何かしようなんて思ってないけどさ…💦

智くんのカレーは、めちゃくちゃ旨かった!


「旨いっ!これ…店で出せるよっ…」


「んふふ…いっぱい作ったから、おかわりしてね♪」


本当に美味しかったんで、3回もおかわりしてしまった…何か、食べてるとこ、すげえニコニコして見てるけど…人に振る舞うのが好きなんだろうか…

俺以外にも…こうして智くんの手料理を食ってる奴が…


ズキッ…


!?


何、今の……?


その日から、時々、智くんがご飯を作ってくれて、一緒に食べるようになった

他の人にも作ることがあるのか…気になって、つい聞いてしまう…智くんは、


「そういえば…ご飯作ったの食べてほしいって思ったの…翔くんが初めてかも…」


「そうなんだ…」


俺…ホッとしてる…てゆーか、ご飯を一緒に食べるだけじゃなくて…もっと長い時間、一緒にいたい…


休みの日…誘ってみようか…俺は仕事柄、いつでも合わせられるし…


「智くんて、お休みいつ?」て聞くと、特に決まってないらしい…


俺と同じで、時間に融通がきく仕事なんだろうか…それなら…と、思いきって、ドライブに誘ってみた


そしたら、「行きたい!」て言ってくれて、「どこに行きたい?」て聞いたら、「海!」て返ってきた…


海…それは、所謂、ドライブデートのど定番の場所かなって思うんだけど…

ただ、海が好きで行きたいだけ…なんだろうか…いや、そうだよな…て、1人で納得してると…

智くんが俺の顔を覗き込んで、「翔くんと海へドライブデート、楽しみだな♪」

えっ!?ドライブデートって…そう捉えてもいいの!?

ご飯を食べてる時と同じように、ニコニコして言ってくれるから、


「俺も、智くんとドライブデート楽しみだよ…!」と答えていた…


どうしよう…俺、智くんに惹かれてる…


智くん…貴方を好きになっても、いいのだろうか…


いや…


自覚した、この気持ちを… 


もう止められる自信は、ない…