〈S〉


  確か、もうすぐ仕事終わって帰ってくる頃だよな…


俺は、あの人に警戒されないように人間の子どもの姿になり…


迷子を装い、あの人のアパートの前で待つことにした…


あ…来た…!



ずっと小さい頃から見守ってきた…大野智くん…


小さい頃は、本当に可愛くて可愛くて…


成長するにつれて、キレイになっていって…


あ…傍に来たっ…/////


「どうしたの?」


わ…初めて声 聞いた…何かずっと聴いていたいような声だな…


あ、そうだ、迷子なんだよな…

人間の子どもらしく、目に涙を浮かべて、大野智くんを見る…


うわ~…直に見ると、本当にキレイだなぁ…


「…迷子なの?」


あ…この歳の人間の子どもって、どれくらい話せるんだろ…


わからないから、無言で頷いた…


「一緒にママ探そうか?」


もう一度、頷くと「じゃあ、行こうか」と差し出された手を握る…


温かい手だなあ…


そして…


交番という所に連れて行かれるけど…



「迷子なんですけど…」と智くんが言っても、



交番の人に俺の姿は見えないから…というより、俺が望まない相手には見えないんで…


「迷子のお子さんは、どんな服装をしてますか?」と聞かれている…


「え?いや、この子が迷子なんです…!」


「どの子ですか?」


「…?!」



交番の人と話が噛み合わないからか、その場をあとにして、智くんのアパートに戻ってきた…


「困ったねぇ…おまわりさん、話が通じないんだよね…」


「とりあえず、僕の家にどうぞ」と智くんの家におじゃますることになる…


「お名前、言えるかな?」


…名前くらいは 言ってもいいのかなぁ…


「ショウ…」と言ってみる


「ショウくんて言うの?」


「うん」


「カッコいいお名前だね♪』


「……………/////」


智くんが、カッコいいって言ってくれた♪



嬉しくて、智くんの回りを飛んでしまう


「何で、飛べるの?!」


あ、しまった…人間は飛べないんだっけ…




〈O〉



   交番に連れて行ったんだけど、なぜか、おまわりさんと話が噛み合わなくて…


どうも、この天使みたいに可愛い男の子のことが見えてないみたいで…


そんなことってある?


埒が明かないから、僕の家に連れて帰ってくる


男の子をソファーの上に座らせる…


そういえば、名前、なんていうのかな…


「お名前、言えるかな?」て聞いてみると、


「ショウ…」て返ってくる…


あ、喋れるんだ…!


2~3才の頃って名前とか年齢は言えたかもなぁ…


「ショウくんて言うの?」て聞くと、


「うん」て頷いた…


なんか、ショウくんて…ピッタリな名前だな…


「カッコいいお名前だね♪」と言うと…


「……………/////」


照れたように、頬をピンクに染めて…


え??


ショウくんは、パタパタ…パタパタと、僕の回りを飛び回る…


「何で、飛べるの?!」


てゆーか…


何で、低空飛行なの?


ショウくんは、僕の膝くらいの高さのところをくるくる飛び回っている…


「ちょっと、ごめんね…」


飛んでたショウくんを抱き上げて、衣服を捲ってみる…


えええっ…


背中に…


小さな羽がある…


もしかして…


本当の天使だったりする…!?