〈O〉


  櫻井くんて、実は同い年なんだよね…


僕は高卒で この会社に入ってるから、会社では4年 先輩になっちゃうんだけど…


正直、大野先輩て言われるのも 敬語で話されるのも 何となく くすぐったい…


名前で 呼ぶように言ってみる?敬語もさ…いらないよって…

僕も… 櫻井くんのこと 名前で呼んでみたいな…

なんて、思ってるけど、なかなか言い出せないでいる…


今度ある 新人の歓迎会の時に 思いきって言ってみようか?

アルコール入ってたら、言えるかも?


たぶんね…


ううん、たぶんじゃないね…


僕…櫻井くんのこと 気になってるよね…


てゆーか、もお 好きなのかもね…


なんか…初めは、櫻井くんの顔が…どストライクで…ずっと 見てたい…見ていて飽きないって感じで…

喋ってみると、声も良くて…話し方も…話を聞く姿勢も…とにかく 櫻井くんの全てがツボってゆーか…

それとさ、櫻井くんの 食べてるとこ見ると 幸せな気持ちになるんだぁ…

本当に美味しそうに食べるんだよねぇ…!

僕の作った お弁当食べてさ…

『うめえ!』って 言ってくんないかなぁ…


あとさ、櫻井くんて 時々、ドキッてする事 平気で 言うの…

本人は 深い意味で 言ってるんじゃないんだろうけどさ…


僕は 櫻井くんに 何か 言われる度に ドキドキしちゃって…一喜一憂させられてるよ…


こんなんだからね…


櫻井くんに 対しては、気持ちを抑えるとか…何とも思ってないふりとか… 出来そうにない…


こんな…気持ちが コントロール出来ないなんてこと、初めてかもしれない…


同期で部署が同じのニノにも…


「大ちゃん、あの新人くん 気に入ってますよね?」って…


部署が同じでも グループが違うから、デスクは離れてるんだけど…見ててわかるらしい…


こんな事 言われるのも 初めてだよ…


でも、珍しいけど、良い傾向 ですねって…


だから、ニノには 気持ち隠さなくても いいかなって思ってる


櫻井くんが 他のグループの女子社員や 先輩なんかと話してると…

なんか 何 話してるんだろって 気になって見ちゃうんだけど…


ニノが、「仕事の話し ですよ、怖い顔 しなさんな(笑)」て 仕事中なのにLINEで送ってきて…はじめて 自分が  不機嫌になってる事に 気づく…


自分では こんな風に 感情が表に出てくることが今まで無かったから、戸惑ってしまうけど…


ニノは 笑いながら それで いいんです って 言うんだ…


だったら、いいか…


だって、こんな気持ち 初めてなんだもん…


櫻井くん…


僕ね、君のことが 好きみたい…


僕が 話す時、真っ直ぐに見る その大きな瞳も…


その…唇も… 唇を触る その指先も…


じっと見られると 恥ずかしいのに、見て…って思うし…その指先で…僕に触れてって 思ってしまうんだ…


もう…何とも思ってないふり 出来そうに ないんだから…


それなら、僕は 櫻井くんへの 気持ちを 素直に認めようと思う…


嫉妬もしちゃうけど、今は 好きって この気持ちが 何だか 嬉しかったりする…


それに…


知らなかったけど…好きって気持ちは 毎秒 増えていくんだね…


この気持ちが 膨らんで いっぱいになったら、櫻井くんに伝えてみようか…


でも…膨らんで いっぱいになって 弾けたら…


もお…そこから先は…


際限なく広がっていくのかも…


あ…そういえば…肝心なこと 知らないや…


櫻井くんて つき合ってる人 いるのかな… きっといるかも…だって カッコいいもん…


でも…もお 気持ち 止めらんないかも…


もうしばらくは…



気づいた この櫻井くんへの 恋心…



ドキドキして…


キュンとして…


ワクワクして…


ハラハラして…


キュッとなって…


また ドキドキして…



しばらくは…この初めての気持ちに…



フワフワしてようか…