〈S〉


  バイト先のレストランに、新入りのバイトが3人 入ってくる…

今いるバイトは、全員 オープニングスタッフでバイトリーダー的な人は 決まっていない


新入りのバイトは、早番に二宮和也くん、相葉雅紀くん、俺と同じ遅番に大野智くん

二宮くんと相葉くんは19才で 、フリーターらしい

可愛らしい感じだから、大野くんも 年下かと思ったら、1つ上だった…

俺は、一目で この大野くんに 心を奪われる…

副店長が、俺に 大野くんの指導係を任せるって…


「えっ…俺がですか?」


内心、よっしゃ~!て感じ?(笑)


次の遅番から、大野くんに仕事を教えてくんだけど…


「櫻井です…遅番の仕事 教えていくんで…よろしくお願いします」

「あ…よろしくお願いします…」


仕事の説明をしてても、聞いてんの?って感じで…つい口調が 強くなってしまう…

俺が 言ったことは ちゃんと その通りに してくれるので、一応 聞いてはいるらしい…


同じ遅番の 松潤こと 松本潤が、『大野くん、可愛いよね…つき合ってる人いるのかな…』て…


「バイト中に 何 考えてんだよ」

『え~、じゃあ バイト 終わったら いいの?』

「そういう問題じゃない」

『とか言って、櫻井くんも 気になってるんじゃないの?』


…その通りだよ、悪いかっ…!


新入りのバイトが入ってきて 1ヶ月 経った頃、歓迎会が 開かれることになった…


大野くんは、「別に 歓迎会なんて いいのに…」
なんて 言うけど…

「まあ、みんな飲むの好きだから、歓迎会は口実だよ…気楽に参加すれば いいよ」

「そっか…」


何だかんだ 月1くらいで、定休日前に 店のメンバー、早番も遅番も 全員参加で 飲み会が開かれている

だいたい一次会は、この店で…厨房のスタッフが 料理を作ってくれて、閉店後から みんなで飲むことになる

で、その後は、行ける人は 二次会でカラオケに流れる… 毎回 このパターンだ



飲み会 当日…


コンスタントに開かれる この飲み会…

割りと 出席率も高くて、普段は接点の少ない早番と遅番スタッフの 交流の場にも なってて…

なので、だいたい 店のスタッフやバイトの顔は覚えてるし、わりかし みんな仲が良い…

相葉くんと二宮くんは 未成年だから ソフトドリンクを 飲んでいる

大野くんは… あ~、厨房のスタッフに捕まってるなあ…

けっこう飲まされるからな…適当なところで 止めさせないと…

歓迎会、乗り気じゃないように 見えたけど…お酒 飲むのは 好きみたいだな…


大野くんが トイレに立った時に 俺も あとを追いかけるように 席を立った…


「大野くん、大丈夫?」

「あ~、櫻井く~ん…だいじょぶだよぉ~」


ん?呂律、回ってない?


「二次会 行くの?」

「二次会が あるの~?」

「たぶん、カラオケだと思う」

「櫻井くんは~…行くのぉ?」

「いつもは 行ってるけど…」

「じゃあ、行こおかな~…」


え?俺が 行くから 行くの?

そお 聞こえたんだけど… 違うか…


「だったら、飲むペース 少し落とした方が いいよ」

「え~…全然 飲んでないよぉ~?」


どこがだよ…てか、大野くん…酔うと甘えた感じになると いうか… これは…

大野くんの傍に いね~と危ないんじゃね?

この店の 連中…肉食系 多いから… 

松潤とか、厨房の奴らとか…


店内で 飲み始めて 2時間くらい経つと…

店長が、行けるやつは カラオケ行くぞ~!と

やっぱり、いつものパターンだな…


未成年の 二宮くんと相葉くんは 俺らは これで帰りますって…

店の玄関口まで 見送ると、2人は仲良く 手を繋いで 帰っていった…

え… あの2人って…?


一緒に見送ってた 大野くんが…


「いいなぁ… 2人 仲良いんだなぁ…」

「そうみたいだね」

「僕も… 手、繋ぎたいなぁ…」

「…カラオケ店まで 繋いでく?」


もう…酔ってるから 何でもアリ…

てか、俺は しっかり下心 あるけどね…


「いいのぉ…?」

「いいよ」


みんなが ぞろぞろ カラオケ店に 向かって 歩いていく 1番 後ろから…


大野くんと 手を繋いで ついていく…


「んふふ~…」


て、大野くんが 俺の顔を覗き込んでくる

ヤベ… むちゃんこ 可愛い…/////


「ふっ…(笑) 何?」


「櫻井くんて~…最初は~…もっと怖い人かと 思ってたんだぁ…」

「え?俺?」

「うん… でも、違った~…」

「今は…怖くない?」

「うん… 今は… んふふ…/////」


バイト中は、大野くんと一緒にいて 顔がデレないように 気を張ってるからかな…


繋いでる手を ギュッと握ると… 同じように握り返してくれる…


カラオケ店に続く、エスカレーターに みんな乗り ぞろぞろと 入っていく…


 エスカレーターのステップに乗せようとした足を引っ込めて…


ぐいっと繋いでる大野くんの手を引っ張って…
その場を 通りすぎた…


「…櫻井くん?」


カラオケ店が入ってるビルが 見えない所まで 大野くんを 連れてきた…


「二次会…行かないの?」

「…大野くん…俺と 2人だけで 二次会しない?」

「櫻井くんと…2人で…?」

「うん…」

「…いいよ…2人でしよ…」