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  個人懇談、終業式が 終わり 夏休みに入った

智君と同じ高校に 行く為にも 今年の 夏は受験勉強を…

けど  夏休みの 宿題が 多くて これが 意外と 厄介なんだよ…

智君は 毎年 休みの終わる間際に 慌てて やるらしいけど…今回は 7月中に 終わらせるよ?


休みに入る前に 配られた課題は 個人懇談のあった週に 何とか 終わらせた



そして……



7月の 勉強会は ほぼ 宿題を やっつけるのに 費やす…今回は 自由研究が ない分 楽だったかもしれない…

読書感想文は、智君に 寝る前に 少しずつでもって オススメした本を 休みに入った辺りで 読みきったらしく、それを そのまま 感想文で 書いたらしい…


テスト勉強の時と 同じく 1時間に1回 休憩を入れながら 無理のないように 進めていく…

休みだから 、朝から 会うことが 多い… なので、たいてい 昼食を一緒に取る…夕食は週末くらい…

さすがに 毎日 朝から晩まで 勉強ってのもね…

智君と 一緒に いられるのは嬉しいけどね…もちろん 合間に キスはするよ… 恋人同士だからね…それは 外せないよね…!

ね、でもさ… 智君… 大丈夫なのかな…?

毎日毎日 俺と会って、宿題or勉強…時々キス…

俺は 元々 勉強するのは 嫌いじゃないから、全然 構わないんだけど…

智君は ストレスに なってないのかな?

絵、描くの 好きだもんね… 前は 授業中に ノートいっぱい 描いてたもんね…

今…描く時間ある…? それに、前に 釣りや キャンプが 好きだって 聞いたことある…

受験生とはいえ、せっかくの長い休みだもんな…

「智君…」

「うん?」

「毎日、俺と 勉強ばっかで 苦痛なんじゃない?」

「ううん… 翔君と 居られるの嬉しい」

「えっ…」

「それに、前ほど 勉強も苦痛じゃないんだ」

「智君…」


そっか…じゃあ いいのかな…

いや、やっぱりさ、息抜きって 必要だと 思うんだよな…


気づけば 夏休みも 半分 過ぎていた……

夏休みの宿題は 終わってるんだし、こうして 毎日 コツコツ 受験勉強もしている…

少しくらい、いいんじゃないの…?

「ね、智君…」

「ん?」

「どこか、行く?」  

「えっ?」





〈O〉


  「どこか、行く?」

「えっ?」  

夏休みも 半分過ぎた頃… 

今日は 翔君の家で 勉強会…

で、今は 休憩中

氷が溶けて 少し薄くなった ジュースを1口 飲んだところで 翔君が 言う

「夏休みだしさ…どっか行く?」

「あ…う~ん…」

行きたいけど…でも 受験勉強あるし…特に 僕は頑張らないと…翔君と同じ  高校 行きたいし…

「あんまり…気が乗らない?」

「ううん…そういう訳じゃ…」

「もう、夏休みの宿題も終わってるんだしさ」

「うん…」

そう… もう 宿題は 全部 終わってる… 今までの僕じゃ 考えられない…

いつも 夏休みが終わる間際は 宿題のことで バタバタしてたし…

けど 今年の 夏休みの宿題は 翔君のおかげで 7月中に 済んでしまっている…

休み前に 配布された プリントや問題集…いつもなら 休みに入ってから まとめて やるけど…

もう そのプリントとかも 個人懇談の期間中に終わらせてしまった…

翔君て 凄いんだ… 勉強で わからないところだけじゃなくて、効率良く 勉強する方法てゆ~の?

そういうのも 教えてくれるから、僕は 無理なく夏休みの宿題を 終わらせることが出来たんだ


「智君…」

「うん?」

「気分転換も 必要じゃない?」

「そお…だね…」

でもさ… 気分転換なら… 休憩の時に 翔君が 頭 撫でてくれたり…勉強の後、キスしてくれるので…僕は 充分なんだけどな…

それに… 外だと…キス出来ないじゃん…って、こんなことばっか 考えてたら、翔君 呆れちゃうかな…

ふと 顔を 上げると 翔君は 僕の隣に 移動してて… そっと 抱きしめられる

「…翔君?」

「俺はさ、こうやって 智君 抱きしめたり キスしたりで いいんだけどさ…」

「うん…」

僕も そおだよ…

「智君は… 息が詰まるんじゃない?」

「そんなことないよっ…」

「そう?」

「こうしてくれるだけで…充分だから…」

「智君…」

「それに… 翔君と同じ高校 行きたいから…今年の 夏休みは 勉強 頑張りたいんだ…」

「智君…!」

翔君の腕に 力が 入る…僕も 同じくらい返す…

「だから…楽しみは 来年の夏休みまで 取っとく」

「…わかったよ」

「翔君…」

「ん?」

「もしさ… 同じ 高校に行けなくても…来年夏休み 会えるかな?」

「質問が 違うよ」

「え?」

「俺と 智君は 同じ高校に 行くんだから」

「あ…うん…」

「だから、質問するなら、もしクラスが 違っても…でしょ?」

「翔君…」

「まぁ、どう転んでも 来年も 俺と智君は 一緒に いる訳だから…愚問だね」

「…翔君…」

「ん?」

「グモン…て?」

「智君…」

「え?」

「休憩 終わりね!」

「え~…」

「熟語の 意味やるよっ!」

「…は~い…」

あ~あ…

翔君は テーブル挟んだ 正面に 移動してしまった…