〈S〉

  3月 下旬 春休み……

休みに入ってから、俺と智君は ほぼ毎日 会っていた

待ち合わせは いつもの 小さい公園…そのうち お互いの 家にも 行くようになった…

どちらの親も 共働きで昼間は 家に居ないので、たいてい 二人きりだ…

あの日… 俺に つられて泣いた 智君の涙を 見た時に… やっぱり ずっと一緒にいたいって思った

今は 岡田君の代わりでも…俺のこと 好きになってもらって…そして 早く 大人になって…

初めて 智君の写真を見た時に思った…俺が 智君のこと 守るんだって…その想いが より 一層 強くなった…!

そして、今日も いつもの公園で待ち合わせ…

「翔君!」

来た!

「智君、おはよう」

「おはよお」

「行こっか」

「うん」

行き先は 岡田君の家… 何か 話があるってことで呼ばれた

「僕、岡田っちの家  初めて行く」

「あ、そうなの?」

「翔君は、何回か行ってるの?」

「1年の時は 同じクラスだったし行ってたかな…最近は 行ってないけど」

「そおなんだ…」

そうか…岡田君の家 初めてってことは…智君と岡田君…2人きりで会うことはなかったってことか…?

あ…もしかして 智君の家に 呼んだことは あるとか…?

少し モヤモヤ し出した 時に 岡田君の家に着く


「「おじゃましま~す」」

「おう、あがって あがって」

岡田君の部屋に通され、智君は 部屋を キョロキョロ見回してる

「大野と 学校以外で 会うの 初だな」

「そういや そおだね」

「へぇ…」

そうなんだ!じゃあ、今まで 智君と 岡田君は 2人で会ったことは ないって訳か…!

「あ~!岡田っち」

「なんだよ?」

ん…?

「ここに 貼ってある写真!」

「え?」

あっ…!

「ここに 写ってたの 僕だろ?何で 切り取ってあるんだよ」

「ああ…それか…」

岡田君が ニヤニヤして 俺を見る… 言わないで…って 手を合わせる

「何だよ?何で 切ってあるの?」

「それは…」

岡田君…俺って 言わないでよ~…!

「うん?」

「欲しいって いうやつに あげた」

「えっ…」

一瞬 智君と 目が合う… え…俺って バレてる…?

「変な奴じゃないから 安心しろ」

「誰だよ?」

「それは 内緒!」

「何だよ、言えよっ」

うわぁ…もう この話 やめてくれないかな…(汗)


「ね、岡田君…」

「うん?」

「何か、話が あって 俺ら 呼んだんじゃないの?」

「ああ…」

「あ、そおだ、話って 何だよ 岡田っち」

う… 何とか…話題…逸らせれた…??




〈O〉

  翔くんが 泣いた あの日以来… 僕は 翔君への 自分の気持ちを 自覚した

僕は…翔君が 好きなんだって…

翔君と 一緒に いたい…翔君の あの くりくりの目を 曇らせちゃ いけないって… 

僕の 隣で 笑っててほしいって…そう思うようになった…

春休みになってから 翔君とは 毎日 会っている

いつもの あの公園か、お互いの家で…2人で会う

特に 何を するって ないけどね…お互い 別のことしてる時もあるし… でも、同じ空間に 2人でいるってことが 心地いいんだ…

けど、今日は 岡田っちが話があるって… たまには 3人で遊ぼうって 呼ばれた

翔君と いつもの公園で 待ち合わせて 岡田っちの家に 向かった

翔君は 何回か 行ったことがあるみたいだ… 他にも人 いたのかな? 2人で 会ってたの?

少しだけ 胸が チクンとする…

でも、最近は行ってないって… ほとんど 僕と一緒に いるもんね…


岡田っちの部屋で キョロキョロしてしまう…

翔君の部屋とは 違う…部屋の 角に ダンベル?体 鍛えてんのか?

壁に掛けてある コルクボードが目に入る

あ~…体育祭の時の 写真か… 何枚か貼ってあって… ん?あれ? この写真って…

「あ~!岡田っち」

「なんだよ?」

「ここに 写ってたの 僕だろ?何で 切り取ってあるんだよ?」

「ああ…それか…」

岡田っちが 翔君を見る… 

え?何? 翔君は…知ってるの…?

翔君を見ると 困ったような顔をしてる…

何?どおしたの…?

「何だよ?何で 切ってあるの?」

「それは…」

「うん?」

「欲しいっていうやつに あげた」

「えっ…」

僕の写真を…欲しいなんて やつ…いるのか?何か…誤魔化してない?

翔君の方を見たら、翔君も 僕を見てた…何か 不安そうな顔に 見える…

「誰だよ?」

「それは 内緒!」

「何だよ、言えよっ」

岡田っちに 問い詰めてると…翔君が遠慮気味に…

「ね、岡田君…」

「うん?」

「何か 話が あって 俺ら呼んだんじゃないの?」

「ああ…」

そおだっ そおだった!

「あ、そおだ 話って 何だよ 岡田っち」

写真のことも 気になったけど…とりあえず 岡田っちの 話 聞いてやるか…

テーブルを 挟んで 向い合わせで 翔君と岡田っちが 座っている

僕は 翔君の 隣に 腰を 下ろして、岡田っちが 口を 開くのを 待った…









♪ 智君、お誕生日 おめでとうございます!

智君を 好きになれて 良かったです…!

これから先… ずっと…

智君の 幸せだけを 願います…!💙💙💙💙💙