こんな話を聞いていると、自然とイトの顔には、いつもの血行が戻っていた。
こんな平和な家族は、見たことがない。
やっぱりこの親子は、特別なんだ。
イトは、心を決める深呼吸をした。
『オヤジさん。話しておきたいことがあるんだ。』
リキは、イトの言おうとしていることが分かった。
『イト、無理することない。もう終わったんだ』
イトは、首を横に降った。
『いいんだ。兄ちゃんが知ってるんだ。オヤジさんも知っているべきだったんだ』
困った顔のリキは、両手を宙に浮かせて、強く握った。
『イトが決めたなら、それでいい』
イトは、笑顔で頷いた。
『うん。僕はねお花を咲かせられるんだよ』
『そんなのあり得ない。彼らは、こんなところにはいない』
イトは、両手を顔に押し当てて泣いた。
『そうだよ。僕達は、高値で売られている。お父さんとお母さんは、僕のせいで、殺されたんだ』
リキがイトを抱き締めた。
『ごめん。お花のや話を俺がしたからだ』
イトは、泣きながら言った。
『全部を聞いて。兄ちゃんに、全部を聞いてほしい』
リキは、責任の重さに顔が引きった。
オヤジさんを見ると、やはり困惑した顔で、黙って頷いた。
リキも頷いた。

『分かった。全部を聞かせてくれないか?俺達はもう大体知ってるし、怖くないよ』
リキの声は、震えていた。
イトは、鼻水をすすり上げた。

『僕はね、両親と三人で暮らしていたんだ。ずっと家のなかでお花を咲かせていた。楽しかったんだ』
『それは、売ってたのか?』
オヤジさんの腹を、リキの左拳が襲った。
『そうか、それで?』
『お話は、家の外では咲かせてはいけないと言われていたんだけど、太陽の下でお花を見たくなって、つい、外でお花を咲かせていたら、近所のおばさんに見つかって、』
イトは、また涙を拭った。
『お父さんが、慌てて家に帰ってきていったんだ』

『お花を家の外で咲かせたのか?』
イトは、嬉しい顔で頷いた。
『太陽の下だと、きれいに咲くんだ』
お父さんは、悲しげな顔で頷いた。
『そうだな。お母さんは、どこだ?』
ちょうど玄関が開いて、お母さんが。とび入ってきた。
『この子は、まだ一人では生きていけないわよ』
お父さんは、食器棚を動かした。
手の平ほどの袋を取り出した。

『一緒に逃げましょう』
お母さんは、お父さんの肩を掴んだ、
お父さんは、首を横にふった。
『俺達は、この子を逃がす』
『でも、まだ一人では生きていけないわよ』
お母さんは、両手を顔に押し当ててつけて、両膝を床につけて、泣いた。
『もう時間がないんだ。村長にばれたんだ。村人が全員、銃を持ってくるんだ。この子は、奴隷にはしない』
『分かったわ。イト。来なさい』
イトは、お花を抱き締めて、首を横にふった。
『嫌だ。僕はどこにも行かない』
『お願いよ。イトは、生きるのよ』
お母さんは、イトの方に歩くと、イトは逃げる。
『嫌だ。僕はここにいる』
『お母さんは、イトのために死ぬの』
イトは、驚いて立ち止まった。
『何で?』
お母さんは、イトを抱き締めた。
『イトのためだけに、生きてきたの。もうお別れだけど、イトは、お母さんとお父さんのために、生きていくのよ』
『僕はね、ここでお母さんとお父さんと死ぬ』
イトは、大声でいった。
『じゃ、お母さんは何で死ぬの?』
『知らない』
お母さんは、イトの両手を両手で強く握った。
『』