やはりケベック最高やで


 カナダ・ケベックのロックバンド•Maneigeが1977年に発表した3rdアルバム。熱狂の中に豊富なアプローチと高度なテクニックが光る傑作だ。


 1972年、木管楽器 Alain Bergeronとキーボード Jérôme Langloisの2人を中心に結成。しかしJérômeの方は弟・Vincent Langloisがサックス担当として加入し2ndアルバムを発表した後に脱退しており、本アルバムでは参加していない。チェンバーやジャズ•ロックを融合させた作風で、しばしばSlocheなどと比較される。地元ケベックでのライブ活動やオランダのEkseptionSoft Machineの前座を務めるなど着実と知名度を上げていき、1978年にはカナダツアーを行った。1983年には解散したとされ、実際1981年の6thアルバム発表後はライブ再編盤以外に特に作品はリリースされていない。現在でも未発表曲やライブ音源が発掘されているらしく、なかなか探求心そそるグループである。


 グルーヴ感に富んだパッションほとばしるジャジーなアルトサックスやエネルギッシュかつ優雅なフルートがメロディラインを彩り、そこにヒステリックなバイオリンがさらなる熱狂を与えている。しっとりとしたピアノも空虚な美しさを演出し、作品に奥行きを出している。トラック5 Mambo Chant後半部で唯一使用されているソプラノサックスの色気が溢れる音色にも注目だ。また前半でサックスと対比させるかのように主張してくるメロディアスなギターと重低音響かせ躍動感あふれるベースがロックとしての体裁をしっかり整えている。


 本作品のグルーヴ感を支える重要な要素はバリエーション豊かなパーカッション。ローリングとシンコペーションを混ぜた複雑なビートをさらりと聴かせてくれるドラムはもちろん、外連味あふれる響きで作品にメリハリをつけるビブラフォーン、メルヘンチックで蠱惑的なシロフォン、幽玄なチャイムと...。豊富な音色と変則的なドラムによって、静と動の振れ幅をしっかり表現できる土台が作り上げられている。特にトラック4 Les Epinettersのようなサイレントな曲では、ティンパニやタンバリン等で静寂を崩さない装飾と終盤の盛り上がりをしっかり支えるいぶし銀なテクニックを味わえる。


 ロックとしての基盤に、パーカッションや木管楽器の煌びやかな音色と熱狂が盛り込まれた贅沢な作品だ。やはりケベックはさまざまなアプローチが感じられて面白い。