これまたゆるいジャケだな、おい。
北アイルランドのロックバンド•Fruuppが1974年に発表した4thアルバム。ゆったりした世界観の中で幅広い感性、技術が味わえる面白い作品だ。
1971年にベスファルトで結成。中心人物はギター Vincent McCusker。バンド名も、手元にあった転写シールがF、P、R、Uしか残っていなかったためそれらから作った造語というなんとも気の抜けた逸話がある(諸説あり)。最初の2年間はGenesis、Queen、King Crimsonなどのライブの前座で経験を積む。1973年にプログレ系専門の音楽事務所であるドーン・レコードと契約、同年にFuture Legendsでデビューする。精力的にライブを行い人気も博していたが、ライブアルバム用のデモテープが火災で消失したりとなかなか苦労をしてきたようだ。そんな彼らも1975年以降のプログレ衰退という時代の波には逆らえなかったようで、1976年に6thアルバムDoctor Wilde's Twilight Adventure制作途中に解散している。ちなみにキーボードStephen Houstonはその後牧師になっているとのことだ。
ゆったりと幽玄ながらもところどころでコミカルなアプローチが見える。ボーカルの温もりとユーモアを内包したハスキーボイスはPhil Collinsを彷彿させる。明快でリズミカルなギターには各場面に柔軟に響かせ方を変え、ときにエッジを効かせていく様に確かなテクニックを感じる。ベースもしれっと複雑なリフをぶち込んでくるなかなかのキレ者だ。またシンバルをかき鳴らしながら煌びやかに動くドラムは、各曲各場面の変化のきっかけを担っている。
明朗に響かせるフルート、多様なキーボードサウンドによる鮮やかな世界観、など各楽器の魅力がそれぞれ的確に表現されてはいるのだが...。肝心のメロディラインがなんというかこう...イモ臭い?全体的にボテっとした印象がある。前述した場面転換も、ときに唐突で詰め込みすぎなように聴こえる場合もある。でもそれらはけっして欠点ではない。むしろここから生まれるアングラ感が我々のような人種にはたまらないのである。アルバムジャケットのゆるい感じともマッチしてこれまた趣深い。
確かなテクニックと独特の情緒が配合された良くも悪くも個性的な一枚となっている。なんか読み返すと悪評ばっかりに見えてしまうが、これだけは弁明したい。こういうのは大好きだ!もっとちょうだい!!
