久しぶりの良い天気です

なんという種類の雲でしょうか

空が賑やかです

 

 

 

 

 

以前に描いた絵本を製本しようと

読み返したら 何だかピンと来ない

 

ので 思い切って描き直してみました

 

 

 

〈ひとりぼっちの小さな女の子〉

 

 

わたしは いつも

あの古くて小さな家に帰りたかった

あの道を ずっと歩いていけば

黒ネコのチビにも おばあちゃんにも

会えるような気がした

 

分かってる

本当は 古くて小さな家も

チビもおばあちゃんも もういないこと

 

 

この家は 新しくてきれいだ

みんないるけど とても忙しい

 

わたしは いつも 本を読むの

お話の中は楽しい

そして 絵を描くの

たくさんの動物たち

森の中のお家

 

 

本当はね わたし

この家は 好きじゃない

 

みんな 変わってしまったの

知らない人みたいに

家の中を 歩いてる

 

わたしは ここにいるよ

ねえ ここにいるよ

 

 

ある日 わたしに お友だちができた

みいちゃんっていうの

わたしより 大きいおねえさん

 

みいちゃんは

絵を描いてくれたり

おもしろい本を 読んでくれたりした

 

 

あの日…

絵を描いていた

みいちゃんの目から

涙が ぽろぽろこぼれた

 

すぐに帰っちゃったけど

大丈夫かなあ

 

 

それから しばらくして

みいちゃんが 会いにきてくれた

わたしを見て にっこり笑ってくれた

 

よかった

みいちゃんは 変わっていない

知らんぷりで 通りすぎたりしない

いつもの みいちゃんだ

 

わたしは うれしくて

みいちゃんを ぎゅっとだきしめた

 

 

なんだか あったかくて

ほっとして 眠くなってきちゃった

 

ねむい…ねむい……

…おやすみ………

 

 

 

わたしは いつも

小さな女の子に 会いに行った

よろこぶ顔が見たくて

お話をつくり 絵をかいた

 

おもしろい場面では

顔を見合わせて 笑いあった

 

 

ある日 とても悲しいことがあった

どこへ行っても 何をしても

涙が あふれてくる

 

 

あの子にまで 

心配かけてしまった

 

ある人に言われた

「その女の子は 小さい頃のあなたでしょう」

 

 

「あなたは もう強い大人になったの

誰にも 抱きしめてもらえなかった

孤独なその子を 抱きしめてあげなさい」

 

 

わたしは 胸の奥にいる

小さなままの女の子に 会いに行き

ぎゅっと抱きしめた

 

女の子は ほっとしたように

静かに眠りについた

 

 

それから わたしは

時々 自分のために

絵を描き お話を書いた

 

あの子は もういない

いえ いないのではなく

遠い記憶の中に いるのだけれど

 

言葉を交わすことはない

笑いあうこともない

 

 

だから あの子のために

お話はつくれない 絵は描けない

 

今でも わたしの読むお話を

楽しそうに 生き生きとした顔で聞いている

あの子を 思い出す

 

 

そうすると なつかしくて

会いたくて たまらなくなるのだ

 

ひとりぼっちの 小さな女の子に

 

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでいただき

ありがとうございました