びっくりするくらいの間

放っていた屋根裏に

恐る恐る 登ってみました

 

物凄い埃の量で 所々 塊になっています

いくつかの段ボール 節句の人形などが

乱雑に置いてありました

 

その中に 原稿用紙に書いたお話を発見!

私が20代の頃に書いたものです

 

どんだけ書いたんだというくらい

大量にありました

 

ちょっといい話かなと 

思ったものを 載せます

良かったら 読んでくださいね

 

 

 

 

  〈ゴミ捨て場のロボット〉

ここは ゴミ捨て場です

 

見渡す限りのガラクタの山 山 山

その片すみに ゴンタというロボットが

ころがっていました

 

もう何ヶ月も 同じ場所に横たわっていました

手も足も 錆びついてしまって

動かす事が できないのです

 

昔 まだ元気だったころ ゴンタは

シャボン玉を 飛ばすのが 得意でした

 

その大きな口から シャボン玉を 飛ばしては

町の子供たちを 喜ばせたものでした

 

午後の日差しが 暖かく ゴンタは 

うとうとと 眠りはじめました

うとうと うとうと

 

 

ふと気がつくと 周りは にぎやかな街並み

ゴンタは 左手に石けん水 右手にストローを持って

シャボン玉を 飛ばしていました

 

たくさんのシャボン玉が 

街並みを 駆け抜けていきます

 

街の子供たちが 集まり始めました

「あっ シャボン玉だ」

「わあ きれい」

 

ゴンタは得意になって 歩きます

その後ろから 男の子や女の子 

大きい子や 小さい子が 列を作って

着いてきました

 

ゴンタの飛ばした シャボン玉は

フワフワ フワフワと

赤い屋根の小さな家にも 飛んで行きました

 

大きく開かれた窓の下では 

小さな女の子が ベッドに寝ています

女の子は 病気なのです

 

あとから あとから 

シャボン玉は 飛んできます

「パチン」

女の子の 頭の上で シャボン玉は割れました

 

よく聞くと 何かしゃべっているようです

「あそぼうよ パチン」

「早く パチン」

「よくなってね パチン」

 

女の子は しばらくぶりに

大きな声で 笑いました

 

窓の外の ゴンタは 

そんな事は 少しも知りません

そして まだ 得意そうに

シャボン玉を 作り続けていました

 

うとうと うとうと

ハッと気がつくと 辺りはもう 夕暮れでした

 

そっと 手を動かそうとすると

やはり サビついていて 動きません

 

目を開けると 誰かが ゴンタを

のぞき込んでいるのが 見えました

 

小さな女の子でした

そうです

夢の中で ベッドに寝ていた

あの女の子です

 

「元気になったのかな」

 

女の子は ゴンタを抱き上げると

サビだらけの顔を 優しく なでてくれました

 

夕陽が ゴミ捨て場を 照らしています

見渡す限りの ガラクタの山です

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでいただき

ありがとうございました