「はい、765プロダクションです。」
いつもの様に集まる彼女たち。今日も賑やかな1日になりそうだ。
「はい、はい。その件は他の者とも相談致しまして、追ってご連絡致します。」
事務員の音無小鳥さんが対応に負われている。
俺がプロデューサーを務めるこの、765プロダクションは、芸能事務所。艱難辛苦を乗り越えて、急成長のアイドルを抱える。
プロデューサーは俺と、元所属アイドルだった秋月律子。律子は、765プロが注目されるきっかけの《竜宮小町》のプロデューサーだ。
「プロデューサーさん、お仕事の依頼があるんですが…」
「え?あ、はい。どちらからですか?」
「降郷村の夏祭り実行委員会の方からです。」
降郷村と言えば、まだ誰も売れていない、仕事がほとんどない頃に、俺がプロデューサーとして初めて取った仕事が、降郷村の夏祭りだった。
今はなかなか仕事の都合上、難しいかもしれないが、765のみんなで楽しかった。
「プロデューサー、小鳥さん、可能ならですけど…受けませんか?」
事務所にいた萩原雪歩が声を掛けてきた。
「私の…ダメダメな私の、勇気の原点だと思うから。」
「でも雪歩だけだと、大変だろ?」
「だから、みんなで…またやりたいなって…。」
難しいだろう。だけど、確かに我々765プロの飛躍の原点…かもしれない。
「どう思います?音無さん。」
「そうですねぇ。なかなか難しいですよねぇ。」
「でも…春香ちゃんや真ちゃんやみんなと話し合ったら、何か良い案が出るかも知れませんし…。」
「雪歩は何か案があるか?」
「ん~と、"生すか"の特別番組…みたいなのが出来たら面白いと思うんです。」
雪歩の提案は、かなり的を射た、みんなも喜ぶ内容だ。
「解った。とりあえず俺が連絡してみる。」
大見得切ったのだから、とにかく連絡をしてみた。