忘れ得ぬ歌ぱーと837「たんぽぽ」 | 遊遊のブログ

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思い出の曲を、思い出と共に、気ままにアップしたブログです。


たんぽぽ

作詞・作曲:コトリンゴ

鳥が運んでくれた種は
静かに呼吸をしているよ
どんな景色が広がるかな
思い描くよ土の中

そっと覗いてみましょうか
少しばかりは怖いけど
おひさま満ちる世界が見たい
この気持ちは揺るがない

風の音色が変わったら
雨の棘がなくなったら

あなたにはこの世界
どんな風に見えますか
ここで私は根を張って
夢の途中のため息で
綿毛を遠く空いっぱいに
飛ばして

叶わない願いも
届かない想いも
深い深い色になって
私をそっと染めてゆく

あの屋根を越えて
隣の町まで
どこかの知らない誰かの庭へ
幾つかは踏まれ
幾つかは船の上
あなたの肩にたどり着けたなら

小さな火が燃えている
土の中で音もなく
明日自由のときが来たら
きっとあなたに会えるから


➡️2016(平成28)年11月12日に封切られた、こうの史代原作の同名映画「この世界の片隅に」のエンディングテーマです。

「この世界の片隅に」は「漫画アクション」で2007(平成19)年1月23日号  ~2009(平成21)年1月20日号まで連載されていました。

こうの史代さんにとっては「夕凪の街 桜の国」に続いて「戦争と広島」をテーマに描いた作品です。
ただし「夕凪の街 桜の国」と異なり、主要な舞台は広島市ではなく近隣の軍港・呉に設定されています。

映画「この世界の片隅に」では、劇中音楽を、コトリンゴさんが担当していますが、主題歌は「みぎてのうた」で「悲しくてやりきれない」はオープニングテーマ。
挿入歌は「隣組」

「みぎてのうた」は、原作「この世界の片隅に」の最終話「しあはせの手紙(昭和21年1月)」に書かれている詩で、映画では原爆孤児となり、すず夫妻の元で育てられる事となる女の子の母親の鎮魂歌(と思っていますが)で、いつも涙する場面です。

「たんぽぽ」は、シラミだらけの少女が、すず夫妻や径子さん達と共に、幸せな日々を送っている映像をバックに流されます。

しかし、コトリンゴさんの優しいかすれた様な歌声は、やはり胸に突き刺さるものがありますね。

同じように原爆や戦中の生活を描いていながら「はたしのゲン」のような重苦しさがないのは、原作者の、こうの史代のお人柄でしょうか(こうのさんは昭和43年生まれで、私と5つ違い。コトリンゴさんは昭和53年生まれ)

この映画は、制作の足がかりとなる資金をクラウドファンディングで一般から調達したことでも知られていますが、出資者の意見を取り入れた為、原作と乖離した部分があるのが気になります(一番気になるのは、突然太極旗が上がる場面がありますが、これはいわゆる「朝鮮進駐軍」なる犯罪団体によるもので、日本人がおよそ4.000名殺されている)

これがこの映画の唯一無二の「瑕疵」ではないでしょうか?

今日は74回目の広島原爆忌。

神聖なる祈りの場で、何やら喚いている輩がおりましたが、彼らには御霊を安らかにと祈る気持ちは無いのでしょうね、多分…