忘れ得ぬ歌ぱーと701「きょうだい心中」 | 遊遊のブログ

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きょうだい心中

作詞:不詳
作曲:山崎ハコ

国は京都の 西陣町で
兄は二十一 その名はモンテン
妹十九で その名はオキヨ
兄のモンテン 妹に惚れて


これさ兄さま 御病気はいかが
医者を呼ぼうか 介抱しようか
そこでモンテン 申すには
医者も要らなきゃ 介抱もいらぬ
わしの病気は 一夜でなおる
二つ枕に 三つぶとん
一夜寝たなら 病気がなおる
一夜頼むぞ 妹のオキヨ


言われてオキヨは 仰天いたし
何を言いやんす これ兄さまへ
わしとあなたは 兄妹の仲
人に知られりゃ 畜生と言われる
実は私にゃ 男がござる
年は十九で 虚無僧なさる
虚無僧殺して くれたなら
一夜二夜でも さん三夜でも
末は女房と なりまする


兄のモンテン 虚無僧殺す
深い編笠 その下に
哀れなるかや 妹のオキヨ
かねて覚悟の 妹のオキヨ
兄のモンテン 妹を殺す
思いこんだる 妹のオキヨ
妹のオキヨに だまされた
ここで死ねば きょうだい心中
兄は京都の 西陣町で
哀れなるかよ きょうだい心中


soon1979(昭和54)年5月21日にリリースされた、山崎ハコさん5枚目のアルバム「人間まがい」の収録曲で、クレジットには「江州音頭より」となっています。

この曲は、1979(昭和54)年6月3日に公開された映画「地獄」の挿入歌で、主題歌の「地獄 心だけ愛して」と共に、山崎ハコさんが歌っていますが、この映画の内容は、強姦や近親相姦の罪を犯して、二代に渡って地獄に堕ちていく母娘を、卑俗趣味たっぷりに描いているもので、当時の私達(高校3年生)では、東映とは言え、観には行けませんでしたね…

「江州音頭」は、滋賀県を中心に近畿地方各地で盆踊りに用いられる音頭で、仏教の御経の節である「声明」を源流とし、山伏らによる民間布教手段として派生した祭文が一部で娯楽化し、次第に宗教色を薄めて遊芸として独立したものです。

同様の成立過程を辿ったものに「阿呆陀羅経」や「チョンガレ」などと呼ばれた諸芸があり、一部は春歌に属するものがあったそうです。

この曲も「春歌」の範疇に入るのでしょうが、歌詞を読み込んで行くと、何とも言えぬ哀愁が漂っています。

山崎ハコさんの小さな身体から、あのような歌が出てくるのも驚きですが、時代を知る上で貴重な曲ではないかと思います。

流石に奥さんのNちゃんは、この曲を知らないみたいで、ちょっぴり安心しました。