※妄想です。


ちょっとイロイロ迷走中。

















「今日はお日柄もよく!狼さん!

私と結婚してくれませんか!?」


「え。いや。てか誰」


「赤ずきんと申しますー!」


「…本名は?」


「ショウでーす」



偽名にもほどがあんだろ。

と、狼は思いました。








「いやー狼さん、あなたいっつもそこの泉の縁で昼寝してるでしょ?」


…してんなぁ。

日当たりいんだもん。

風の抜けもいいから、夏も暑くならないし気持ちよくて昼寝に最高。


「見かけるたびに可愛いなぁと」


いつも。

そいや、いつもって言ったか?

見かける、ということは。


「え、変質し」


「やめてヒドイ」



カクカクシカジカ


森の中の一等地、光のあたる泉のほとり。

散歩だったり狩りだったり、歩き回ったさきのひと休みに最高の場所なのだ。

そこでいつも通り寝てたら、なんか気配を感じて目を開けたら、赤。


赤い色が目一杯に広がって眩しくて、状況が掴めなかった。

戸惑ってるうちに、謎な世迷言をほざく赤いヒト。

なんか色々と言うんだけど。


うーん…

大人しく聞いてはみるものの、やっぱり。



「変質し「違います」」

「んじゃストーカー「も、違いますっ」」


だってさー。



道中で花を毟りに来たら

(ていうのもどうなんだ)


焦げ茶の塊が落ちてて

(茶は認めるけど焦げてない)

 

寝息も寝顔も可愛らしく

(鼻息荒くはないと信じてる) 


通りかかるたびに昼寝する狼に遭遇して、「もしや俺を待っていた…!?」と。



いや、昼寝は日課。






「もう、これは運命なんじゃないかと」


「違うだろな 」


「この赤ずきんに誓って種族の違いなど全く問題ない!誓うよ!」


「誓わんでもいいしー」


「貴方にこの花をプレゼント」


「…そこに生えてるやつ」


「そしてそして!

今ならここに美味しそうなお肉が!」


「え」



ささ。

狼さん狼さん、お昼ごはんですよ!

ちょっと日が傾き始めてるから、今からなら夕飯でも!

いいお肉ですよ!


赤ずきんとやらの赤い布にカゴが隠されていた。

フタを開けたそこからいい匂い。



ぐう。



そいえばまる3日間なんも食ってなかったんだった。

けど狩りすんのもめんどくせぇなぁ。

そしたら腹がなったの知り合いに聞かれて、ご飯つくってあけるからおいで、って行ってくれてて、ぼちぼち行こっかなーと。


おう、そうだ。

今日こそ行くつもりだったんだ。

寝ちゃったけど。



「そいやメシ食いに行くんだった」


「なんと!それならコレを」


「食材持って来い!って言っただろうが!」



ゴッ



いたそー・・・・

ガウ。








「おージュンか」


「おいサトシ。

昼寝すんならウチ来いって言っただろ」


「んやぁ昼寝はここじゃないとー」


「腹すかせてまで寝るのもどうなんだよ。

…まぁ、飯食わせてやるって言ってたのに食わせる食材が届かなくて、どうしようかって考えてたとこだけどな」



食材?


「うん、もしかして」 



なんか予感。

馴染みの濃い顔面が勢いよく赤いカブリモノに振り向いた。

眉毛がなんとなーく吊り上がった気がする。



「ショウさんあんたお遣いもできないの!」


「だってだってっ

手土産に花もいいかな、って泉に寄ったらあんなに可愛い生き物が!」


「可愛いは認める。

けどショウさんが届けてくれるはずのものが、そこの腹ペコの狼に食わせる食材なの!」


「「え」」


「ソレ。肉」


「お肉」


「狼のくせに雑食で、そのくせ肉の選り好みして、なかなか食べないの!」



…そんな偏食みたいな言い方。

食べる量があんま多くないだけじゃん。

野菜も食べる良い狼じゃん?オレ。

おかげでか小さい生き物にあんまり怖がられないけど。


口にするととばっちりくらうに違いない。

ここは大人しく。

黙って良い子の狼してたら、赤ずきんとやらはジュンにしこたま怒られてる。

良かった。  


ん?そいや。



「んじゃ、そこのが肉くれるっつったのと、さっき結婚がどーたら、てのは別の話?」


「いえいえワンセットで!」


「でもジュンの肉でしょ?」


「献上先は同じなので問題なし!」


「そーいうもん…?」




「結婚…?」




あんた座れ。


ジュンに地面を指された赤ずきん。


これは確実に説教タイム。





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しまった1話で収まらなかった