※妄想です。
















なんか、様子が変化だった。

人魚の事情はけんとうもつかないけど、彼が何か思い悩んでるのだけは伝わる。


「俺…じゃねぇしなぁ」


悩んでくれるほど、事故も事件もイベントもない。

あ、つまんない。


「でも、な」


今はスルーされない。

笑いあえるくらいには仲良くなれた。




トン

地面に降りて、足が着く。


こんな時間が続いてくんだろうか。

俺は陸に

彼は海に

永遠に交わることのない、はっきりとした境界線。

触れたいと思うのは過ちか?



彼を陸に引き上げたい。

そんな欲が奥の奥に生まれてきてるのに、気づかないわけがない。

出きるはずない、て理解してるのもまた。


「俺が海に潜れるようになるって選択肢を、まず思いつかないってところがダメな話だろ」


彼を犠牲にすることを最初に思う事、

なんか自分自身に嫌気がさす。


でもな。

自分をまず変化させてからなんて、なかなか想像しないよね。



あ。



俺は、彼を手に入れたいのか。


寄り添うのじゃなく。



「うわぁ」


自己嫌悪だ。

気がついちゃった。

ダメな思考だ。

ヤな発想だ。


次に会いに行くとき、俺どんな顔すりゃいんだ。












「ニノ」


頭抱えてしゃがみこんだら、声が降ってきた。


「ちょっと話がある」


「ショウさん…?」




*****

無自覚自覚