※妄想です。

1歩。かも。


















無神経で無遠慮。


睨めばいいのか

怯えればいいのか

威嚇すればいいのか


頭のなかをえらい勢いで廻った感情。

どの感情を選択しようかあぐねてしまう。

そんな俺を彼女は。



睨むでもない

警告するでもない


ふつうだった。


ごく、普通。


というか、なんか呆れてるみたいな。

うん?


そんで、俺を嘘つきとも言わなかった。

…一応、嘘は言ってなかったけど。

言わないことがいっぱいあっただけで。





「ハリネズミってこんな感じなのかな?

いやもっと可愛いか」


「…俺のこと?」


「わたしカワイイでしょ?って見せといてるくせに、触れば痛い。

ソフトにナチュラルに針だらけ」


「…そっかなー」


「自己防衛は誰でもするもんだから、あんたが笑って壁作るのは別にいいの。

でもね?

その胡散臭い笑顔のまんまで智に近づこうとするなら許さないわ」


「…そう見えるんだ、俺」


「内面丸出しにしろなんて言わないわよ。

むしろコワイわ、そんな人。

あのこだって別に箱入りでもないし。

でもね、勘はいいわよ?

隠すのはかまわないけど、取り繕った顔はすぐにバレるからフラれて終わりね」




・・・もしかして、これは。


援護してもらえてる、のかな…?



と思ったけど。

そんなに甘くない。

外堀なんて無いし搦め手は意味がない、て釘さされちゃった。


彼女はガーディアン。


だけど、守るべき存在を盲目的に守っているわけじゃない。

引き際もわかってる。


完璧すぎないかな。








「そばにいたいなぁ…って」



シンプルに伝える。

何度も自分のなかを見つめて、考えて。


諦めるばっかりだった恋愛を諦めたくない。

初めて思った。

離したくない。

離れたくない。

まだ捕まえてもいないけど。



改めて告げたら



あげない。

あのひとから「捕まっちゃった」って報告されたら許してやる。

て。


お許しもらえたよ!




「条件付きよ!!」



聞かなかった聞こえなかった。

うん。





*****

精一杯の譲歩