※妄想です。






















いつもそう。

わかってることだ。

好きになっても、自分が愛されることはない。

友人として信頼されて、側にいられても、恋だの愛だの気持ちを交わせるようになることはないんだ。


わかってる。




「…なんで、って聞いてもいい?」


「俺は対象にならないの。ごく普通に」


「…?

なかなかの優良対象でしょうに、あんた」


「あ、嬉しい。誉めて貰えた」



顔もいい。

言葉のチョイスも上手。

人当たりもソフトでスマート。

仕事も出来る、すなわち稼ぎもいい。

実際、ワンコ狙いの女子は多いって聞く。


だからかな?

あからさまな女にうんざりしてたとか。



「おーのさんと遭遇した日の結婚式ね。

あのときはもうすでにお祝いする気持ちしかなかったのよ。

二人ともお似合いだし、式も楽しかったよ」


「うん」


「卒業してから飲み会くらいでしか会わなかったし、告白なんてそもそもする気もなかった。

だから向こうは俺の片思いなんて、知りもしない。

これからも知らないままよ」



ただ、幸せいっぱいの二人をみて

自分のなかの、ほんの少しだけ残ってた未練みたいなものをスッパリ終わらせたかった。



「んで、最後の最後で盛大に楽しくやけ酒でもして綺麗さっぱり終了!

って夜だったわけ」



ワンコの顔はさっぱりしてる。

過去の片思いはもう思い出だ、って。



「そっか」



でももったいない。

ちょこっとは思う。

こんなイイヤツに気がつかなかったとは。ぁ

彼女の目は残念だ。



「まぁ、ふたりが付き合うって聞いたときは安心したんだよね。

見た目頼りがいがあるようにみえるくせにボーッとしてるひとだから、見た目ふわふわの中身しっかり者と一緒になるのは、良かったって思った」



…そだっけ?


一回しか会うというか、見てないから確かじゃないけど。

キリッとしたひとだったっけ。



「あのひと見た目で誤解されて頼られちゃうけど、のんびり屋でオロオロするから、つい手を貸してたけど。

そういうとこが放っておけなくて、好きになったけど。

そしたらあいつにからね、付き合うって紹介されて、俺の役目は終わったなって」


「う…ん」


「あいつには感謝したよ。

俺があのひとに本気で入れ込む前に捕まえてくれたんだもん。

切ない失恋くらいですんだから。

お祝儀ちょっと張り切っちゃった」



…なんだろう、なにか。


んん?



「…あいつ、って随分ていうか、なかなかの親しさよね…?」


「あー。そうかも?

なんか気があったんだよね。

でもこのみの問題かもだけどお互い恋愛感情はなくて、いい友人になれたんだ」


「ほう。ほう?」



あれ。

あれ?


さっきから消化できない何か。



思い返す、ワンコの先輩とともだち。

ふんわりしてたのは、どっちだった?








「…二宮」


「ん?」


「ちょっと整理なんだけど」


「うん」


「・・・・ともだちって、どっち?」


「先輩がふわふわした見た目、ってどっからどう見ても、大野さんの目がやばくない?」







「あんたが好きだったのって」


「ん」


「先輩のほう!?」


「そだよ?」






*****

嫁はともだち