※妄想です。

かれをみる




















「好き」って気持ちは、重いものだと思ってたんだけど。







「…さとしと、なに話したの」


「そこは秘密にさせといてもらえない、かなぁ?」


「は?」


「嘘ですそんなこと言ってないです」



コホン


一息ついて、ワンコは躊躇う。

そんな姿も視線を伏せる仕草も、きっとカッコいい。

でも私には響かなかった。

ビックリするくらい響かないし、客観的に見た。


あれ、この間のちょっとばかりのときめきはなんだったのかな。


…彼からの好意はあっても恋慕は一切感じないから、持続しろと自念しても無理だったということか。

うん。

分析できるあたり、私もちょっとアレだ。



「自分でも、さ」


「うん」


「軽くないか、とは悩んだんだよ」



失恋のやけ酒で話を聞いてくれたヒトにあっさり惚れるって。

なにその尻軽的な。

なんだそれ。


て、思ったとワンコは言う。



「あんた惚れっぽいの?」


「んー…比較対象がないから、どうだろ。

相葉さんからは人見知りしないね、とは言われる」



人見知りと惚れやすいのは違うと思う。

でも、浅いなりに関わるようになって、このひとの人付き合いはフラットな感じにみえる。


誰でも拒絶しない。

くるもの拒まず。


でも。


根の本質を知ってるのは何人だろう?




「ま、惚れやすいっていうのは別に悪いことじゃないけど、浮気性なイメージあるわよ。私的に」


「浮気はない!」



びっくりした。


いやに強く、断言。



「あ…ごめんなさい。

でも、浮気なんてしない。

そんなの大嫌いだ」


「ん。わたしも言い方悪かったわ」



上等な見た目

軽いお喋り

人懐っこい愛想のよさ

優しさが伝わるような気づかい

スマートな先を読む行動


好みはひとそれぞれだとしても、彼を嫌うひとは少ないと思う。











「二宮」


「うん?」


「あんた、なんでそんなに警戒心だけで生きてるの?」









優しい擬態


ワンコって扱ったけど

面白いヒトだと思ったけど

どうしても気を許すことができなかった。


わかった。


さとしを好きだと言うその口で

このにんげんは誰のことも信用してない。


だから私も信じない。

本当の言葉なんて言わないひとは


信じない。





*****

あれ?