※妄想です。




















目の前で友人たちを肴に楽しそうに飲んでる、彼。

この子はやっぱり片想いしてる。


なんでかしら。


恋する乙女ならぬ、恋する男子が私の回りに溢れてる。

みんな、もともと整った顔立ちの面子。

それが恋してさらにさらに。



「キラキラで溺れそう…」


「どしたの?さとちゃん」


「みんな可愛いわよねぇ」


「えぇ?」


「引くわぁ」


「えぇえ!?なんで!?」



恋するひとは綺麗に可愛くかっこよく。

そんなのがこれでもかってくらい、いるの。

私の回りに。


けども。

けども!



「もー好きに恋愛してなさい、あんたたち」


「ぅええ?なんなの!?

さとちゃん変だよー」



ヒトの恋路を邪魔する奴は馬に蹴られるのよ。

ぺっぺっぺって追い払われるのよ。

そのはずなのに。


勝手に巻き込んだクセに、誰も私に関心がないってどーいうことよ。

これでもお年頃の乙女よ?

それなりに適齢期のおんなのこなのよ?

なのにー。



「全員対象が女子じゃないってどゆことよ」


「え、えとえとえとえとっ

そ、そんなことナイんじゃないかな…?」


「ないからこの現状でしょうが。

あんたも頑張りなさい。

そこのワンコ肴にしてる場合じゃないのよ。

ぶち当たってこい。

なんなら今から呼んでやる」


「さとちゃん酔ってるね!?」



アレは呼ばなくていい、って言ったのは私だった気もするけど、撤回してやるわ。


どうせならカオスな修羅場になったら面白いわよね。

相関図も整理されていいかもしれない。



「そんなカオスいらないからー!!」


「面白いのにぃ」


「ないないない面白くないっ」


「ぷう」



あぁぁあっもうお酒ダメっっめっ

ってグラス取り上げられちゃった。

そりゃ飲んでるもん。

ちょっとは酔うもん。


ちょっとじゃありません!

なんて、相葉くんいつからママンになったのよ。



「すきなひとがいるのっていいよねぇ」


「…まぁそうだね。

楽しいだけじゃないけどね」


「楽しいだけの恋なんて飽きる。

そんなんじゃ長続きなんてしないのよぅ」


「カッコいいねぇさとちゃんは。

こんないい女さとちゃんのこと好きなひと、近くにいるよ」


「なら出てこいやぁ!」


「応援してもらってるもんね。

だから、さとちゃんのにはオレがはっぱかけてあげる」



クスクス笑う声が止まらない。


そんなひといるのかなぁ。

いたらいいなぁ。


最近、まわりは恋するヒトばっかりで、なんかピンクぃ熱が移りそう。

でも目の前の現実を片付けたら。

て思っちゃうから、私まだいいや。






「…さとこ?大丈夫か」



額に触れた手が冷たい。

気持ちいい。



「…ねぇ、さとし」





*****

ふわふわ