※妄想です。

にんげんは凝視する




















カシャシャシャシャシャ


隣で連写音が止まらない。


スマホとデジカメ二刀流で連写してる姿は器用だなーって思う。

普段はわりと…というか、かなり不器用カテゴリーの人なのに。


フレーム合ってんのかな?



後で見せてもらうけど、きっと合ってるに違いない。

ただし。

無駄に器用発揮してるのは、限定対象のみ。




と、言っても。

かくいうオレの手にもスマホ。

パシパシってシャッター切っちゃう。


だってさ!





ニャア


クウ



目の前には我が家の猫と犬。

どこで拾ったのか飛んできたのか。

あのこたちの間にあるのは、白い花。


小さな花をお互いに乗せ合ってるの。


頭に乗っけたら落として、咥えて拾って相手に乗せ直す。

それを何度も繰り返して。



なにあれ


なにあれナニアレ


どんな技だっての!?

どこで覚えてきたの、うちのこたち!




ぜんぜん飽きないみたい。

白い花を相手の頭に乗せて落として乗せて落としてまた乗せて。

相手を飾ることに楽しんじゃってる。



「かーわいー…」


おっと

思わず口からこぼれちゃった。

よかった!

気がついてないよ、あのこたち。


てか、うちのわんことにゃんこ。

いっつも人間のこと眼中にないから意識ないんだろなー。







朝、いつもよりちょっと早く目が覚めた。


水を飲もうと思って部屋を出たら、空気が少し冷たい気がした。

はっ窓!

また閉め忘れた!?


慌ててリビングにいったら、窓際にちゃんと2匹ともいたよ。

だからホッとした。



にゃうにゃう


わうわう


仲良くお喋りしてるから、邪魔しちゃいけないなぁって部屋に戻ったんだけど。



「…あれ?」



掠めた微かな視界の記憶。


黒い猫に



「白…?」



驚かせないようにリビングにそーっと戻って覗いてみた先には。






「(しょーちゃん!しょーちゃん!!

起きて起きて起きてよーっっ!!)」


バシバシバシバシ!!


寝てる人の布団と頭を叩く。

今思い出すと、叩くというか殴る勢いだった気がする。


まぁいっか。



「あ、あ?ななななにっ!?」


「今すぐ起きて。スマホ持って」


「は?」


「死ぬほど後悔したくないなら今すぐ起きてリビングへGO」


「Ready Go」


「音たてないでね!」


「はいっ」





そして予想に違わず隣でスマホの軽快な音が止まらない。


ちなみにオレの手の中からも同じ音。





*****

置き去りにはされなかった