※妄想です。
にんげん出番がない














潤くんの猫は相変わらずウーウー唸ってる。
でも。

黒猫くんが毛繕いしてやると目を閉じて大人しくなった。
横で大人しく座ってる柴犬くんも、視線だけ動かして猫たちを交互に見てる。
けど邪魔したり話しかけたりしようとはしてないようだ。

…とりあえず、この輪のなかで一番のトップはこの黒猫だと言うことが判明した。










『……あの』

『ね、ねえ』

『………………なに』

ヒッ


『…その、俺たちは君になにかしてしまったんだろうか』

『は、はじめまして、だよね…?』

『不愉快な思いをさせてしまっていたのなら、謝りたい。
…教えてもらえないだろうか』

『オレたち、イヤなこと、しちゃった?』

『…』

『…ふん』

『…まさきとしょーくん。
ちょっとだけ待ってて』

『さとしくん?』

『うん?』

『…さとしが待てって言ってんだろ』

『かず、よろしくなー』

『タダでなんてよろしくされなーい』

『J、来い』

『う、ん?』







唸り声は止まった。

けど、不機嫌そうに尻尾がイライラと揺れてる。

まさきとしょーちゃん。
うちの毛玉たちは贔屓目に見ても、意地悪なこたちじゃない。
元気よすぎて引かれることはあっても、こんなに初対面から全身の毛を逆立てて威嚇されるくらい嫌われるなんてこと、過去に一度もなかった。

これが相性ってやつなんだろうか。



「…あ」


犬猫の輪から、黒猫と斑というか豹柄っつーかの猫が離れて走っていく。
人間と残った猫と犬たちの視線の先で、軽やかに木に登っていった。

残された木に登れない犬たちと
別の意味で登れない猫
それぞれが落ち着かなげに尻尾を揺らしてる。

人間たちも、なんとなく途方にくれたまま立ち尽くす。

なんとも気まずい。



懇親会などするつもりはなかったけど、予想外の毛玉たちの騒乱。
想定外すぎて意識が散らかりすぎた。

それは俺だけじゃない。
智も眉毛がハの字に下がってる。

…………他、とくに潤くん以外。
は、よくわからん。
けど困ってる気配は感じる。





ニャア


木の上から猫の声。

真っ先に柴犬が反応して、猫たちがいる木へ向かって走り出した。

まだ彼はリードを外されてなかった。
よって、対応し損ねてコケた人間がひとり。
飼い犬はそんな主人に見向きもせずに、リードをつけたまま全力疾走していった。

合掌。




遅れてうちの毛玉たちも走っていく。
察した智が、まさきのリードをすでに外していた。
えらーい。



…それにしても

あの黒猫くんは何者なんだろう。


柴犬くんとハデ猫くんは仲がいいみたいだから良いとしても。
うちの毛玉たちも、あのこの一声に即座に反応してるんだけど。





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