※妄想です。













「メンテ終わったし、松潤どーする?
しょーちゃんのとこ帰る?」

『選択肢あるのかよ』

「あるよー!
松潤の好きにしていいんだから」

『そりゃ知らなかった。
なら俺、次は智のとこ行こっかな♪』

「『え』」

『なにその『え』
智は寝てていいよ?
俺が面倒みてやるからさ』

「えーっそれダメだよぅ!」

『なんで』

「なんでってっ
(協力してくれるんじゃなかったの!?
ニノいるんだからっ)」

『好きにしていんだろ?
(俺そんなにあいつのこと知らないしー)』

「でででででもねっ!?
(ご挨拶したじゃんっ)」

『(それっくらいだし?)』

『…』


見下ろす智。
自分自身の寝顔を直に見る。
なんてこと、普通はまずない。
そんなことが起きている。

手元に目をやれば、人工の小さな手。

だけど、この手はいろんなことができた。
普通なら出来ないことも、製作側の意図も超え、様々なことが出きるようになった手。

それから

いろんなことを手繰り寄せた、手だ。


『普通…か』


自分は普通じゃない。
普通じゃない経験をたくさんしたんだ。
智も、さとしも。

ふたつでひとつ。
これから先も変わらない。


「さとにぃ…?」

『雅紀、潤』

「はい」

『なに?』

『ひとりになってもいい?』


りょーかい
飯には降りてこいよー
なんて言って、笑って部屋を出ていった身内たち。
潤は血縁者じゃないけど(たぶん)、同じ人形で雅紀と別の意味での兄弟。


ギシリ

ベッドへ上がり、寝てる智の横っ腹の辺りに寄りかかって窓の外をみた。

眠ってから、智はずっと外を窓からの景色しか知らなかった。
さとしの目で窓の外を見るのは初めてかもしれない。
ニノがさとしを外に連れ出してくれてたから。


さとしは自分。

自分に嫉妬ってなに。

ニノに罪悪感と引け目を感じるのはもう消えはしないだろう。
けど、そこで立ち止まれば永遠のループだ。


床に置いたままの鞄の上にはスマホ。
戻ったら連絡してほしいとニノが言った。
彼はオレになにを言うつもりなんだろう。

わかんない。

わかんないけど。


『言お』


オレが思うことを。
胸に溜まり続けていった言葉を。







「潤のメシ食う」

『お、起きたな』

「おはよー」

「さとしだと食べらんなかったんだもん。
もったいない」

『おう、ガッツリ食えよ』

「うん」



食べたら、次ね。





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おはようございます(昼)