※妄想です。


何かが起きる、11:30
お仕事してます
スマホに触れることもできません
夜まで何も知ることができません
ご覧になれる皆様、是非とも教えてください
・゜・(つД`)・゜・















「あ、これじゃない?智くんのCM」

「えー!?待って待って!」


さすがに15秒。
食器を洗っていた相葉くんが走ってきても、もう終わっちゃった。


「くっそー!
上手いことみれない!」

「スポンサー番組チェックして録画しとけばいんじゃねえの?」

「わかってないなぁ翔ちゃんは。
偶然の遭遇したいの!」

「確率だいぶ低いと思うんだけどなぁ」


智くんのバイトの成果がオンエアされるとニノから聞いて、張り切ってリサーチして録画セットしたよ、俺は。
そのうちディスクに焼いて相葉くんに見せてあげるつもりだ。


以前に教えてもらっていた通り、画面の向こうの智くんは猫らしく居心地の良さそうなソファに寝そべってアクビしていたり、尻尾をゆらゆら揺らして歩いていた。

インテリアのCMで、俺でも見覚えがあるような若手女優の女の子がふわふわした衣装で雰囲気を作っていた。
智くんはそんな女の子をみつめる飼い猫。

ふたりで微睡むような、とても綺麗で柔らかいイメージCMだった。


「………ニノ、これ見てまた嫉妬してたりしないかなぁ…」


妙に笑顔だったな。
オンエア初日の次の日、むしろコワイ笑顔だった気がする。

…智くん、無事であれ。







「これでさ、智またテレビに呼ばれてでちゃったりするかな?」

「あー。売れっ子猫モデルになってって?」

「だって智かわいいもん」


確かに。
猫の良し悪しは俺には修行不足でわからないが、智くんは綺麗だと思う。
仕事先でみる猫たちよりスッとしたスタイルはきっと格好いい。


「ま、ニノが許さないか」

「だろうな」


家出したという智くんをお届けした翌日、朝っぱらからニノに呼び出された相葉くん。
留守番を仰せつかり、我ながら不器用だと反省しつつ食器を洗って片付けていた。

呼び出され出掛けたはずの彼は、想定よりはるかに早い帰宅をした。

「ニノひどいよー!」

…どうやら使いっ走りらしい。
ものすごく文句を言い続けながら帰ってきたけれど、表情は明るく怒っていない。


「仲直りしてたわけだ?」

「みたいだね!よかったね!」


口調は怒っている。
顔は笑っている。
器用だな。
でも、大変好ましい。



かいつまんで聞いた家出の原因は、やっぱりニノの嫉妬からくるものだったそうな。
言葉が足らない異種族どうしのすれ違いが、お互いを傷つけたのだという。

お互いを語らない、ミステリアスな猫の智くん。
相互理解はなかなか難しそうだけれど、ニノの入れ込みようはかなりのものだ。
まるで恋人のように智くんを束縛したがってるようにも感じたんだけれど…。

猫と人。

特殊な存在ではあるが、それは可能なんだろうか。

「ううん…」

「どしたの翔ちゃん」

「ん…いや。
彼らは俺の常識には全くひっかからないから、考えるだけ無駄かな」

「うん、そうだね」


………あっさりだね。

考えるだけ無駄か。
そうか。
なら、……………諦めよう。
彼らはそれでいいのだ。











「あれ、翔くん」

「…?」

「相葉ちゃん家に行くの?」

「…智くん?」

「うん。
それならコレ持ってって。
いっぱい買っちゃったんだ。」

「え、なに?コロッケ?」

「いい匂いでさ。
ニノもそんなにいっぱい食べないんだけど、つい。
翔くんも食べてよ」

「ありがとう。
お腹すいてるからありがたい」

「相葉ちゃんに、いっつもありがとーって言ってて」

「うん。こちらこそありがとう」

「じゃーねー」


買い物袋を下げた智くん。
後ろ姿の髪の毛かふわふわ揺れてる。
彼の尻尾みたいだ。

今日の夕飯はコロッケかー。
これなら俺でもレンチンですむから大助かりだ。
ありがとう!




「………………あれ?」




今、俺は誰から受け取ったって…?






*****
猫は教えてないのを覚えてない