何度かドイツで日本のパンを焼くことについて書いていますが、今でもやっぱり難しさは変わっていません。
食文化というのは、その地域・風土に根ざしているので、その土地で取れたものでその土地に合った調理法を用いて、できあがるんですね。
だからドイツではドイツパンのような硬く重いパンが主流なわけです。
バゲットを小さくしたようなテーブルパンも、やっぱりこの土地で取れたものを使っているから味わいがあるように思います。
Brötchenのレシピを見てみると、必ず小麦粉は550を使ってくれと指定されていたりします。
ですので、ドイツで日本のパンを焼くのには最初から無理がある。
日本のパンを焼きたかったら日本で売られてる小麦粉を使うべし。
なのかもしれません。
しかし、食文化はその国の人間も作るわけですから、ドイツに移住したとはいえ、日本で生まれ育った私は日本のパンが食べたいわけです。
そこで、いかに日本のパン(というより、私が望むパン)を作るか。そのために、いかに材料を集めるかに尽力しています。
以前、たんぱく質量13%だ!と喜んでいた強力粉。
喜んでいたんですが、値段が高い。
1つ2ユーロ前後します。
日本のパンが食べられるなら安いもんだなんて言っていましたが、撤回します。
ネット通販でしか買えないものでしたが、なんてことはない。
地元のごく普通のスーパーに、同じようなたんぱく質量の粉が売っていました。
EDEKAというスーパーの自社ブランド製品
Eiweiß(たんぱく質)12.8g
お値段79セント。
一番安い小麦粉が大体40ユーロくらいなんで、値段だけ見れば倍しますが、それらはたんぱく質量が低いんです。
13%の上の粉が2ユーロ前後なので、約1/3。
リピートしてます。
いちいちたんぱく質量を見ていた甲斐がありました。
今までいつも売り切れで、目にすることがなかったんですが、見つけてからはあるうちに買うようにしています。
この粉を使っていつものようにパンをパン焼き機任せで焼いていたんですが、やっぱり突然うまくいかなくなるんですよね。
計量はしっかりしてるし、何も変えていないんですけれども。
“日によって湿度が違うから水分量を変える”ということはさすがにしていませんので、その影響は少なからずあるのかもしれませんが、この際除きます。
そこで、次に目を付けたのがイースト。
オーガニックを使っていましたが、これだと全然膨らまないことがありました。
肉まんを作ったのに、何故かお焼きみたいになってしまったことで、イーストが原因であるとの仮説に至ったのです。古かったわけではありません。
普通のイーストに替えてみると、膨らむではありませんか。
でもまだ希望のパンには至っていません。
私の好きな食パンはリッチで、糖分もちょっと高めですので、甘いパンに使えるサフを探してみることにしました。
ネットで扱っているのが一軒だけ。500g入りのしかありませんが、この際しかたありません。
迷った挙句、赤と金の両方を買うことにしました。
イーストだけで1キロ…。
お店を開くわけではないので、そんなに消費しないでしょうから、アルミの袋に入れて真空パック。
赤と金でもやっぱり膨らみが違って、普通の食パンコースでは金が理想のパンになりました。
面白いですね。
糖分の量は10%を超えていないのに、赤では思ったほどうまく行きません。
天然酵母コースで、ごく少量のイーストでやってみても、金はうまくいくのに赤はイマイチ。
大量にある赤は食パンや菓子パン以外のパンに使ってます。
そして更に面白いと思ったのは、粉ミルク。
元のレシピは水が128gでしたが、それを牛乳に替えて142g。それを今度は粉ミルクにしてみると(粉ミルク23g、水119g)、数日経ってもずっとふわふわのままなんです。
1歳になるちょっと前にミルクを完全に止めたのですが、栄養の面ではあげ続けた方が良いと言われています。
飲まないなら食べさせようと思って入れてみた、偶然の産物なんですけど、思わぬ効果にビックリです。
水のみや牛乳だと、次の日には若干パサついてきたかな?と思うのに、粉ミルク入りだとしっとり。
娘が野菜やたんぱく質をあまり食べなかったとしても、とりあえずこのパンさえ食べてれば1食くらい良いやと思えるパンでもあります。
味はミルク味が濃くなってますが、焼き上がりやもちは理想的です。
所詮はパン焼き機の食パンコースなんですけどね…。
今はそのパンにふすまを入れて焼いています。(娘の便秘予防のため)