グレーゾーン | エルコのブログ ~ドイツはライン川のほとりで~

エルコのブログ ~ドイツはライン川のほとりで~

ドイツはライン川の近くに住むエルコが、日常の風景をお届けします

ようやく気持ち悪さも治まりつつあり、どんよりとした気分から抜け出せつつあります。

まだ完全に晴れ晴れとした気持ちにはなりませんが、戻すことも減ってある程度は穏やかに過ごせるようになりました。

 

10月の結婚式の数日後の検査では子供も無事に育っており、7,8mm。

その時の大きさで1週間妊娠週数が進んで11週目となりました。

その時に出生前診断を勧められ、先週の金曜日に予約が取れたので行ってきました。

最初の予約の電話の時に、現金で250ユーロくらい+30ユーロを支払うように言われたものの、

当日は保険証のカードの提示を求められ、検査後に支払うことなく帰ってきました。

昨日の夜と今朝、そのクリニックから電話があり「やっぱり支払うべきだったか」と思いつつも折り返しの電話をしてみると、

何のことはない、検査結果の報告の電話だったことが分かりました。

 

という事は、ドイツでは(プライベート保険は?)21,18,13トリソミーの検査は血液検査、エコー検査ともに保険でカバーされるのかもしれません。

 

血液検査はなんてことはない採血だけでしたが、エコーでの検査は30分近くかかりました。先生が20枚以上もエコーの写真を撮っているからで、それが普通なのかは分かりませんが、そのためか9時の予約だったのが9時45分くらいにエコー検査に呼ばれることに。

血液検査から大分待たされ、人がいないのに何でこんなに時間がかかるんだと夫と共に不思議がっていたのですが(と言えば聞こえは良いですが、本当は文句)、実際に検査を受けてみて納得。それだけの写真を撮っていればそりゃぁ時間がかかりますよね。

赤ちゃんは勝手に動いていますから、撮りたい写真が撮れずに時間がかかったりするようです。

 

結果はエコー、血液検査共に確率は低く、一安心といったところです。

 

はてさて、何故タイトルはグレーゾーンなのかと言いますと、そんな風に一喜一憂したりしていただろう、生まれたことを喜んだであろう人が大声をあげているし、子供は泣き叫んでいる状況を近所で何度も目撃しているからです。

 

住んでいる建物の向かいの建物から、時折火が付いたように泣いた女の子の声と、それと同時に怒鳴り散らす母親の声を聞くことがあるのです。

ここ半年くらいで4回ほど。もちろん私が通りがかっていない時にもあるだろうと考えると、頻度はもっと高いかもしれません。

ぴったりと張り付いて聞くわけにもいきませんし、状況も分からないのですが、泣いている子供に手を焼いているような、怒鳴り散らしているから子供が泣いているような、白黒つけがたい状況です。

あまりにも心が痛むものですから、私の隣の親切なおばさんにそのことを聞いてみると、「あぁ、あそこ。外国人が住んでて子供が二人いるのよ。男の子と女の子」との事。私はそこまで知りませんでしたが、さすが情報通、良くご存知でした。

泣きわめいている声を何度も聞いたんだけどと告げると、聞いてはくれましたがこれまた意外な返事が返ってきました。

 

「何もできることはない」

 

ドイツは子供の虐待などに厳しく、子供を保護する役所があるくらいで、その役所に通報されると調査に来て最悪の場合は引き離されると何度も聞いたことがあります。

どんなにひどい親でも親だからと権利を主張しても、役所が不適切と判断した場合には子供が嫌がろうが親元から引き離すのが子供の将来のためなんだと聞いたこともあります。

 

でも実際にはどうでしょうか。

もちろんよく知りもしない他人の事を悪く言うつもりはまったくありませんし、私がたまたま聞いたのが親が怒って子供が泣いている状況だったのかもしれません。

でも物に当たる音が聞こえるのはどう聞いても不自然でしかない。

でも、誰も通報しない。

私は向かいの建物に住んでいて最上階なので、その家庭の音を聞くことはできませんが、同じ建物内の上下、隣に住んでいる人ならばなにがしかを聞いているはずです。

でも何もしない。

もちろん、何度も言いますがそれほどひどい状況じゃないから通報しないのかもしれません。

 

でも私のお隣さん曰く、その親が暴力をふるう現場を見たり、子供に痣や怪我がある場合以外には実際には何もできないとの事。

言葉の暴力や精神的な苦しみでは救う事は出来ないそうです。

 

通報する方もある程度の確証がないとできないようですし、仮に通報しても役人が来るかどうかは分からないし、役人の判断によって対応に違いが出てきますので必ずしも良い結果には結びつかないとの事でした。

 

自分が今、妊娠をして子供の事を考えますが、決して理想論を振りかざしているわけではありません。

実際に子供を持つ人と付き合ったこともありますし、それはそれで別の問題がありましたが、大変さは理想を上回っています。

 

子供を引き離すという策よりも、その母親の助けになる助けが必要なのではないかと思います。

外国人であればなおさら、身内が近くにいない、言葉が分からないから周りとのコミュニケーションが取れないなどで行き詰っている可能性もあります。

私も外国人で言葉ができない時は行き詰った感じがありました。幸い大家さん一家が良い人たちで色々と助けてくれたり、仕事がありましたからそれで何とかなった部分もあります。

でも一家で外国人で、旦那さんは仕事でいない。家には子供とだけとなったらそれはやっぱり大変だと思います。

 

権利や義務を主張する国の様に取られがちですが、実際の生活はそんなことはないグレーゾーンだらけです。

個々人のこと、家庭には踏み込めないんですね。

その人のために私に何ができるかなんておこがましいことは考えませんが、何とかならないもんかなぁと、つらつらと考えています。

外国に住むということは、想像以上に難しく厳しい事なんだと思いますね。自国では当たり前の事も当たり前じゃないし。

 

その一家には何も起こっていないと祈るばかりです