トップ写真は、フリー素材サイト「ぱくたそ」から拝借
遠出をするたび、よくお寺に立ち寄って手を合わせる。著名な寺院もあれば、一般的な檀那寺(檀家寺)の場合もある。中には「ぽっくり往生の寺」をうたっているところもある。
ふと、「そういえば、以前は『ぽっくり寺参り』のバスツアーもあったな」と思い出した。老人会や自治会が主催し、観光バスを借り切ってぽっくり往生の寺をお参りするというものだ。大手旅行会社が大々的に募集する「ぽっくりツアー」も、あった。しかし最近は聞かなくなったし、ぽっくり寺も閑散としていることが多い。逆に「終活セミナー」をやっているお寺もある。なぜだろう。
検索してみると、「終活」(人生の終わりのための活動)は、2010年に「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされ、 2年後の2012年には同賞のトップ10入りを果たしている。私の感覚では、ちょうどこの頃から、「ぽっくり寺参り」が衰退していったように思える。
終活の本来の意味や目的は「これまでの人生を振り返りながら人生の最期について考えること」で、「今後をよりよく生きる」という前向きな姿勢であり、いわば突然死を願う「ぽっくり往生」とは、正反対の考え方だ。
予防医学や医療技術の進歩により、突然死のリスクは減少している。また緩和ケアや在宅介護の質が向上し、「寝たきりになって家族に迷惑をかける」という心配も、少なくなってきた。
また最近では、コロナ禍による「Stay Home」の風潮以降、特に高齢者は外に出かける習慣がなくなってきている。ましてや密閉されたバスに長時間乗ることは、大きなリスク要因と考えられるようになった。それで「ぽっくり寺参り」は、ほぼ完全に終焉してしまったのだろう。
メメント・モリ(memento mori 死を忘れるな)には、「人間どうせ死ぬんだから、今の生を楽しめ」という含意もあるそうだ。エンディングノートを書きながら、余生で何ができるかを考えることを、私の楽しみとしたい。



