野依白山神社の社殿=宇陀市で

 

NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先週(2026.4.16)掲載されたのは〈「オンダ祭り」で豊作祈る/野依白山神社(宇陀市)〉、執筆されたのは同会副理事長で、宇陀市大宇陀にお住まいの松浦文子さんだった。

 

オンダ祭りは、主に奈良県など関西地方を中心に行われている「御田植祭」の一つで、田んぼでの作業を神事として再現し、1年の五穀豊穣を祈るお祭りである。呼び名は地域によって「オンダ」「御田」「御田祭」などさまざまだが、いずれも田植えに関する神事という点で共通している。

 

大阪では住吉大社のオンダ祭り(毎年6/14)がよく知られているが、奈良県では、この野依白山神社のお祭りが有名で、県のHPにも掲載されている。ご祭神は、女性神のイザナミノミコトである。では、以下に全文を紹介する。

 

「オンダ祭り」で豊作祈る/野依白山神社(宇陀市)

木々深い高台に鎮座する野依白山神社は、伊弉冊尊(いざなみのみこと)を祭神としています。創立の詳細は不明。かつて境内には「佛母寺(ぶつもじ)」というお寺がありましたが、明治の廃仏毀釈(きしゃく)により廃寺となりました。

 

2月の節分祭では、社務所で大豆12個を火鉢で焼き、焦げ具合で1年の晴雨を占う珍しい神事が行われます。5月5日の「オンダ祭り」は、田植えの無事と豊作を祈る神事です。始まりは定かではありませんが、衣装箱には1768(明和5)年の墨書が残ります。

 

この祭りでは、宇陀川を挟んだ約70軒の集落から選ばれた「大頭(だいとう=男神)」、「小頭(しょうとう=女神)」など十数人の神役(全て男性)が田植えの様子をユーモラスに演じるものです。踊り手の「早乙女」も男性が扮(ふん)します。

 

子どもたちが早乙女の邪魔をし、いたずらをする場面がありますが、「子宝に恵まれますように」との願いが込められています。間食(けんずい)を振る舞う際に即興で掛け合い、配られた者が「ワッ」と声を上げるなど、演者と観客が一体となって楽しめるのが特徴。1996年、県無形民俗文化財に指定されています。(奈良まほろばソムリエの会副理事長 松浦文子)

 

(住 所)宇陀市大宇陀野依1047

(祭 神)伊弉冊尊

(交 通)近鉄榛原駅から奈良交通バス「野依」下車徒歩約5分

(拝 観)境内自由

(駐車場)あり

(電 話)なし

 

 

浮世博史教諭、写真は、奈良新聞の記事サイトから拝借した

 

王寺町(奈良県北葛城郡)では、毎月第3日曜日、「奈良ソムリエ講座」(11:30~12:00)と、「歴史リレー講座」(13:30~15:00)を開催している。午前の部は、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」から講師を派遣していて、2026年度上半期は私が担当する(下半期からは、当会所属の会員が交代で担当する)。申し込み不要で、参加無料だ。

 

午後の部は、錚々(そうそう)たるメンバーが交代で講師をお務めになる。先着順で参加料は@500円だ。いずれも、末尾にチラシデータを載せておいた。4月19日(日)は年度初めなので、奈良新聞さんが取材に来られていた。

 

この写真も、奈良新聞の記事サイトから

 

私の演題は〈『信長公記(しんちょうこうき)』で読み解く 織田信長〉だった。戦国の話は、ほとんどが江戸時代に書かれた小説などがモトになっているので、フィクションが混じっている。奈良まほろばソムリエは「歴史の伝道師」をめざしているので、シッカリした一次史料で学び話さないといけない。その点『信長公記』は、信長と同時代の家来が書いているので、信頼性は抜群である。今は、読みやすい現代語訳も出ている。冒頭にそんな話をして、本書に描かれた信長のエピソードをお話しした。

 

会社の同僚のIさんが、駆けつけてくれた。Iさんのカメラで、ツーショット

 

午後の部は、西大和学園社会科教諭の浮世博史さん。演題は〈豊臣秀長をささえた人々〉。秀長を「戦国史上最強のお留守番」とし、いかに秀吉の信頼が厚かったか、ということをお話になった。

 

皆さん、毎月第3日曜日は、王寺町へ足をお運びください!

 

 

 

 

これら2点の写真は、奈良新聞の記事サイト(4/19付)から拝借した

 

皆さん、「年々、夏が暑くなるな」と実感されていることだろう。命に関わる暑さの日も、頻発している。気象庁も、最高気温が40℃以上の日の名称を「酷暑日」と定めた。

 

これらの異常気象(気候変動)は、温室効果ガスの排出による地球温暖化に起因するものであるが、驚くべきことに、いまだにこれを認めない人がいる。私の旧友もその1人で、居酒屋で気持ちよくお酒を飲んでいるとき、突然切り出され、面食らった。その驚きが醒めないうちに奈良新聞「明風清音」に寄稿したので、以下、全文を紹介しておく。

 

 

地球温暖化と異常気象

年を重ねると、旧友などの思わぬ言動に、驚かされることがある。今年2月、学生時代からの友人と久しぶりに会った。もう50年以上の付き合いで時々、酒をくみ交わしている。この日は彼の行きつけの大阪市内の海鮮居酒屋で、今季最後の生けガニを堪能するという趣向だった。

 

「最近、携帯に出てくれへんな」と私。「図書館によう行くので、電源を切ってるんや」。そんな雑談をしていると、突然彼が切り出した。「地球温暖化は二酸化炭素の増加やなくて、太陽の黒点活動が原因らしいで」。私は耳を疑った。聞き間違いかと思い「それ、誰が言うてんの?」と重ねて聞くと「トランプ大統領」。私は、絶望の淵に突き落とされた。

 

常識も良識もわきまえた男と思っていたし、定年後の今も図書館通いをしているという。図書館で、どんな本を読んでいるのだろう。酒席で議論するのも大人げないので、その時は「全く違う。国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書を読めば、すぐに分かることだ」とだけ言い置いて、そのまま別れたが、後味は悪かった。

 

▼太陽活動では説明できない

かつて「太陽の黒点が増えると、太陽のエネルギー放射が強まり、地球が温暖化する」と言われたことがあった。確かに1950年代までは、ある程度の相関関係があった。しかし70年代以降は太陽活動が横ばいか低下傾向にあるのに、地球の気温だけが上昇を続けている。

 

しかも、太陽活動が原因であれば、上空(成層圏)の温度が上がるはずなのに、今は上空の温度が下がり、地表近く(対流圏)の温度だけが上がっている。これは二酸化炭素などの温室効果ガスが熱を地表付近に閉じ込め、上空まで熱を逃がしにくくなっていることの証拠である。

 

「クールビズ」を先取り

私は会社勤務時代、「ノーネクタイ・ノー上着運動」を提案し、一部の部署で試行したことがあった。社員の評判はとても良かったし、夏の室内温度も28℃まで上げることができた。節電により火力発電所の稼動を抑え、二酸化炭素の排出量を減らすことができたのである。それが小泉首相(当時)の「クールビズ」の2年前だったことが、密かな自慢だった。そういう訳で、私は地球温暖化には、わりと詳しい。

 

『異常気象の未来予測』

昨年7月、格好の手引き書が刊行された。立花義裕著『異常気象の未来予測』(ポプラ新書)である。本書「はじめに」には〈気候が暴れ、異常気象が日本を狙い撃つ。毎年のように猛暑・豪雨・豪雪が日本を襲う――。いまや日本は、「世界一異常気象が発生する国」です。まさに異常気象が「普通」の時代に突入しているのです〉とある。立花氏は、25年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた「二季」の名付け親でもある。

 

異常気象の原因として氏が着目したのは、「偏西風の蛇行」である。偏西風とは西から東へ向かって吹く風のことで、偏西風の北は寒く、南は暑い。この偏西風、もともとは真っ直ぐに吹いていたが、近年は激しく蛇行するようになった。

 

夏になると日本、ヨーロッパ、北米で、大きく北に出っ張って蛇行する。蛇行は、北極の温暖化により赤道付近との温度差が縮まり、偏西風の勢いが弱まることが原因という。蛇行すればその南側は暑くなる。日本列島は南側にすっぽりとはまり込むので、猛暑となる。

 

では冬はどうか。北極の温暖化により、北極圏の氷が溶ける。するとそこから熱が放出され、高気圧が発生する。この高気圧が偏西風を大きく南へ押し曲げ、北極の冷たい空気を日本などに引きずり下ろす。このようなメカニズムで、日本の夏は暑く、冬は寒くなる。 

 

異常気象の影響で、桜の開花が早くなり、紅葉は遅くなっている。梅雨入り前から猛暑になり、夏は40度超えが当たり前。残暑が厳しく、10月でも暑い。このような季節変化が一般的にならないようにするためには、やはり温室効果ガスの削減が急務である。

 

旧友にはこの理屈を十分理解してもらい、心おだやかに酒を飲み交わしたいものである。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)