茶道を習い始め4年。

静かに揺れる花に目がゆく。


慌ただしい暮らし。

誰もが生き急ぐように。


「動」ばかりが認められ、

「静」は見過ごされ。


傍に咲く野の花に、

立ち止まる者はなく。


一杯の茶のために、

何ヶ月もかけ準備する。


かつての茶人の、

精神と哲学に頭が下がる。


ゆっくりと、

じっくりと。


生きていいのだ。

それでいいのだ。


待つこと、

落ちてゆくこと。


心にジワっと、

沁みてゆくこと。


インスタントに慣れた人は、

インスタントな人になる。


使い捨ての命に、

なりたくはない。


自分を生きる。

誰かの望みではなく。


梅雨の雨が、

軒先からこぼれる。


それを眺めるのもいい。

1日そこにいてもいい。


わたしとて、

梅雨の雨と変わらないのだ。


空から落とされた、

一粒の命にすぎないのだ。