ケルンと言う町へ向かう。
空は曇り。
森を抜け、
高速へ乗る。
車は140km。
ドイツのアウトバーン。
2時間の移動を終える間際、
目先には霞む2本の塔。
ケルンで有名な、
「ケルン大聖堂」だ。
157mの高さを誇り、
黒ずんだ巨塔は異様な存在感。
真下に着き、
見上げる。
垂直に伸びるそれは、
今にも喰いかかる化け物のよう。
恐怖と威圧感。
神の力を嫌でも顕示する。
大聖堂の扉をくぐる。
鳥肌の立つのがわかる。
幾多の人々が、
この中で祈り乞うた時間の渦。
支配と主従。
崇拝と懺悔。
今まで見た建造物で、
ここまで心を侵食された経験がない。
今にも膝を付き、
頭をたれるような神々しさ。
ステンドグラスに差し込む光。
息をするのも忘れ見入った。
小さな回廊を上がる。
600段近い階段。
時刻を知らせる、
巨大な鐘を横目に上がる。
のぼり疲れた観光客。
息を荒くし皆うえを目指す。
20分の間のあと、
頂きに着く。
町の全貌を見渡せる塔の先。
ケルンを一望した。
世界にはまだ、
自分の知り得ない感動がある。
人間の手で作られた、
建築物に限らず。
人智を超えた感動が、
世界にはある。
あといくつ、
それを僕は見られるのだろう。