ウィーンからザルツブルグへ、

地下鉄に乗り移動する。


エスカレーターの人波は、

どこか東京のそれと似て。


国はかわれど、

早朝のラッシュアワーは気だるそう。


パンとコーヒーを抱き、

予定時刻の車両に乗り込む。


約3時間の旅、

走り出すのを待っていた。


しかし予定時刻になっても、

アナウンスもなくピクリともしない。


「予定通り動かないのもこの国」

そう聞いていたがその通り。


約15分遅れで車窓が動く。

小さな安堵がよぎる。


「日本に比べて」

そう脳が比較する。


しかし15分やそこいら、

委ねたって良いではないか。


あまりに正確なのも、

ゆとりの意味で考えもの。


アバウトすぎても問題。

決まりすぎてても問題。


さよならウィーン。

また会う日まで。


柔らかな雲が青空で、

イビキをかいて寝ている。