闇を歩く者は、
火の起こし方を覚える。
たいまつを掲げ、
影を揺らし足元を照らす。
思想とは、言葉とは、
そうして育つものではないか。
人生の夜を灯す、
心の明かり。
太陽の下では育たぬものがある。
光の中だけでは生れぬものがある。
思想を持つ者の瞳は、
吸い込まれそうな深い色をしている。
それは闇の先を見ようとした、
進化の過程かもしれない。
思想を持つ者の唇は、
多くを語らぬ寡黙を帯びている。
それは闇の中、耳を澄ました、
知恵の表れかもしれない。
星も見えない暗闇で、
今日も凍えながら歩く者達よ。
その心の炎にゆれる横顔は、
悲しげで綺麗だ。