お気に入りのティーポット。

お気に入りのティーカップ。


湯気たつお湯を注いで、

紅茶の香りが部屋に満ちる。


窓から吹く風。

カーテンが光を揺らす。


テーブルには何もなく。

君と僕が向き合い座っている。


「季節がかわったね」

「季節がかわったね」


なんてことない言葉を

ため息みたいにこぼし合う。


空を横切る鳥の影。

植木にとまったアゲハ蝶。


君と言う奇跡。

僕と言う奇跡。


どんな道を歩いてきたの?

その瞳に映した、

色とりどりの景色を教えて。


どんな寂しさを感じてきたの?

その瞳からこぼれた、

色とりどりの涙を教えて。


お気に入りのティーポット。

お気に入りのティーカップ。


心と心、

思い出に憩う。