田植えのトラクターにまたがる。
今年も苗を植える作業を手伝わせて頂く。
田んぼに映る青空が綺麗で、
空に挟まれてる気分になる。
ハンドルを握りながら真っ直ぐに。
真っ直ぐ植るよう気をつけて。
「慎ちゃん、遠くを見て運転してみな」
この田んぼの持ち主の、のりぞーさんが叫ぶ。
「遠く見ながら進むと曲がらないから」
本当にそうだ。
近くをみてるより、
遠く目標点を見ながらいると曲がらない。
多少の誤差に戸惑わない。
大きなうねりの一点に悩まない。
生きることも同じか。
遠くを見ながら生きるんだ。
そりゃ日々色々あるさ。
けど、そりゃその時々で仕方ない。
生きてるんだもん。
仕方ないさ。
秋には稲穂がサワサワ揺れる。
小さかった苗が、大きく育つ。
「遠く見て運転しなー」
泥だらけの長靴を脱いでも、
その言葉だけがいつまでも、
いつまでも胸に鳴っていた。