「自立」と言う言葉がある。

一般的には、支援なしで一人生られることを意味する。

けれど、一人で生きることなど無理だ。

必ず何かに支えられ、人は生きるのだから。

 

ならば自立とはなんだろう?

「一人では生きていけない」

そう自覚することだと思う。

「助けてください」

そう素直に言えることだと思う。

 

子供は両親を、ずっと父と母だと思っている。

しかし成熟するに連れ、両親も涙をこぼす一人の男女だとわかってくる。

過去があり、抱いた夢もあり。

恋もあり、葛藤もあり。

自分の誕生で諦めた物事があったことも知る。

 

子供の自立。

それは、父も母も悩み生きる一人の人間なのだと知ること。

「ありがとうございます」

そう心から言葉がこぼれた時。

親から子供は自立したと言える。

 

社会に出て、お金を稼ぎ、一人生きる。

それも自立。

けれど、それ以上に大事なことがある。

他者を敬う心を持つこと。

自分の自惚れに気づくこと。

「生かされてきたのだ」と自覚すること。

 

自立するたび、人は優しくなってゆく。

人の痛みがわかる人になってゆく。